金額の大小はさておき、国家間の課税権の取り合いは、さほど特殊な事例ではなくなっている。アマゾンのようにサービスの中枢を本国に集中させて、現地法人には限られた業務のみを委託する仕組みは「コミッショネア(問屋)商法」と呼ばれ、グーグルなどの大手IT企業によく見られる事業形態となった。また、海外所得に対して法人税を徴収しない「タックス・ヘイヴン国家」に本社を置くオフショアー法人の中には、他国で事業を行っていても、合法的な節税スキームを駆使して、実質的にどの国にも税金を払っていない企業も存在する。
このように、自国のインフラを利用して利益を上げている外国法人に対して課税できない……というジレンマを抱えているのは日本に限った話ではなく、今年1月にはフランス政府が、米グーグルをはじめとするIT企業がフランス国内で収益を上げている(そしてアメリカに納税している)オンライン広告に対して特別課税する「グーグル税」構想をぶち上げた。