──昨年「クライメイトゲート事件」と称され、話題となった地球温暖化偽装問題。事業仕分けを通して見られた、マスコミ報道と実際のズレ。誤報を招きかねない「事実よりインパクト」という、報道する者としてのタブーが露呈した、2つのニュースの真相に迫った──。
出典:2000年発表のWMO(世界気象機関)の報告書
最近約200年は温度計で測った温度、それ以前は木の年輪、氷、堆積物などを分析して推定した気温を基にグラフ化したもの。「改ざん」疑惑の発端となったのは、木の年輪のグラフで、この図には示されていないが、1960年頃から下降している。昨年11月、英イーストアングリア大学の気候研究ユニットのサーバーがクラッキングされ、研究者たちのメールなどが流出。その内容から、人為起源CO2温暖化説のデータに改ざんの疑いがあることが発覚した。このデータがIPCC(気候変動に関する政府間パネル/地球温暖化に関する科学的研究の収集、整理を行う国際機構)の報告書にも影響を与えるものだったため、温暖化の根拠を揺るがすのでは? と世界的な騒動になった。一部で"クライメイトゲート事件"などと呼ばれているこの騒動、欧米のメディアは発生直後から大きく報じたが、日本の大手メディアは発生から2週間後に小さく取り上げただけ。懐疑的な意見も根強く、それまでも真相がよくわからなかった地球温暖化問題は、この騒動でよりわからなくなってしまった。そこで、地球温暖化予測の専門家である、国立環境研究所の江守正多氏に、この"事件"についての見解を尋ねた。
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