(撮影/有高唯之)
古典芸能がその世界を飛び出し、他ジャンルとコラボレーションするのは今では珍しいことではなくなったが、浪曲師・国本武春はいち早くそれを始めた先駆者だ。浪曲を三味線弾き語りでやるスタイルを作り出し、ロックやR&Bのフレーズを持ち込み、三味線ブルーグラス・バンドを結成。また、NHK教育『にほんごであそぼ』で扮する"うなりやベベン"は、子どもはもちろん、その親の世代にも多くのファンを生み出している。
「ライブハウスなんかで弾き語りを始めたのは、『浪曲は古典芸能として芸をつないでいくだけでいいの?』と思ったから。そんなふうにいろいろやっているうちに、コラボの話が来るようになったんです」
昨年劇場公開され、2月3日にBD&DVDが発売されるアニメ『宮本武蔵-双剣に馳せる夢-』も、そんなコラボがまた実を結んだ作品だ。しかも、今回のお相手は巨匠・押井守をはじめとする、『GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊』『イノセンス』などの製作メンバー。作品の中で国本は、宮本武蔵の名だたる決闘シーンを、浪曲師ならではの緊張感と迫力で謡い上げている。