写真はHedgehog(刺猬)。ライオット・ガール系を彷彿とさせる、小柄な女性ドラマーが印象的なこのバンドも要注目。
「社会主義、愛国心、反日、上昇志向、これまで教え込まれたことが正しいのか疑問でね。でも僕は政治家でもビジネスマンでもないし、仲間たちと自由にやりたいだけ」(「The Wall Street Journal」09年7月24日より)
こう語るのは、シーンを牽引するバンドCarsick Carsのジャン・ショウワンだが、D-22に集う音楽家の多くは、79年の一人っ子政策開始後に生まれ、経済的に安定した家庭で育った。そのためか、社会主義への異議というより、開放政策で推進された市場経済に虚無的な態度を示す。そんな彼らの活動をここ数年で現地のエリート大学生たちが急激に支持するようになった。要はある種のスノッブな共同体だからこそ、本書は洗練されているのだろう。その態様を閉鎖的と揶揄するのは易いが、ニューオリンズのジャズのように、いつだって閉じた地下空間で音楽的実験は行われてきたじゃないか。