AV監督&女優が徹底検証!「睾丸は取っても殺しはしない!」

──マゾヒストを公言するAV監督のラッシャーみよし氏と、スカトロAVなどに多く出演し、同氏作品への出演経験もあるAV女優のミムラ佳奈氏に、多くの性的倒錯者を見てきた者ならではの率直な意見を聞いた。

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──ラッシャーみよし監督はスカトロ作品も撮っておいでで、ご自身はマゾヒストだと公言されています。ミムラさんも、SM、食糞、昆虫食などをテーマにした作品に出ていらっしゃいますが、ご自身のことを「変態」だと思いますか?

ラッシャー(以下、) ミムラさんは変態でしょう(笑)。

ミムラ(以下、) 私、変態じゃないですよ。みよしさんは変態ですけど(笑)。

 まあ、そうかもね。僕は、ミムラさんのことをよくわかってるからいいけど、わからない人から「変態」と言われたら腹が立つと思う。変態というより、「マイノリティ」と言ってほしいかな。

 マイノリティのことを「変態」というなら、まあ変態でしょうね。

 変態だとしても、この記事のテーマである「犯罪との結び付き」といわれても、ピンとこない。多くの人は、「変質者」と「変態」を勘違いしてるんじゃない?

 変態は犯罪を犯しません!! 私の周りにはいくらでも女王様やSの男性がいて、相手の睾丸を取ったりもしてますけど、殺人を犯す人はいませんから。

 その「睾丸を取る」というだけで、フツウの人は引いちゃうんだけど(笑)。

 そうなんですか? タマ出しはよくやりますけど、それはプレイであって、相手を殺したいわけじゃありません。私は針を刺されたり、カッターで切られたり、体を傷つけられるのが好きなんですが、特定の相手──私はレズビアンなんで相手は女性なんですけど、彼女としかそういうことをしません。彼女は絶対に私のことは殺しません。

──体を傷つけられることによって性的興奮を感じるわけですか?

 僕は感じないですね。痛いのも熱いのもイヤ。痛いときは、おちんちんは萎えてます。ただ、鞭を振るっている女性のうれしそうな顔が好き。

 私も、切られるという行為が好きなんじゃなくて、彼女が好きなんです。彼女が喜ぶから私もやる。もし彼女がスカトロが好きなら、そうしてたでしょうね。私は相手に依存するタイプなんですよ。私のようなタイプとは別に、誰でもいいから痛めつけられたい、ひたすら背中を鞭で打たれたいといって、それで射精する人もいます。それは、「痛みフェチ」じゃないですかね。痛みフェチと、関係性が重要なSMとは、別ものだと思う。

──スカトロについては?

 私はスカトロバーで働いているのですが、お客さんから「毎日うんこ食べてるの?」って聞かれることがあります。キャラづくりのために「毎日食べてます」って言ってるけど、実際はそんなわけはなくて、仕事です。AVの撮影のときだって、100%無理してました。AV女優は、みんなそうじゃないですかね。たまたまAV業界に一歩足を踏み入れたので、限界までがんばろうと思ってやっているだけ。どんな仕事でも、実際に興奮することなんてないですよ。むしろ、そういうふうに冷静に演技をする余裕がないとできないと思っています。

──自分の性癖について、いつごろから自覚がありましたか? また、そうなった原因はなんだと思いますか?

 レズビアンとはっきりわかったのは18歳の時です。今思い返せば、昔から男は苦手でした。家庭環境や幼少体験が影響しているのかとよく聞かれますけど、何も不幸な経験はないです。もともと脳みそがそうなっていたんでしょう。

 僕は脚フェチでもあるんですけど、「いつから」とは答えようがない。「なんでですか?」と問われれば、「DNAのせいなんじゃないか」と思う。性的な嗜好は理由があって決まるもんじゃなくて、生まれ持って決まってるんじゃないかな。「子ども時代にレイプされたトラウマで......」なんて本人が言えるなら、それはそもそもトラウマじゃないし。仮にそういう経験があったとしても、それは、のちのち特殊な性癖を持ったことのきっかけにすぎないかもしれないし、あるいは、まったく関係ないかもしれない。「これが理由です」と言えるものなんて、ないと思いますね。何か理由を言えと言われたら、それらしいことは言いますけど。

 そうですね。求められてることを適当に答えますね。

 たとえば、僕の親は学者で、ヨーロッパ近代的なものの考え方を叩き込まれて育って、なのに田舎に引っ越したもんだからすごくいじめられて、その反動で非常に差別的な意識が強くなった。だから、虐げられた人を見ると興奮する。ピンクサロンの女性に対して、「公衆便所女め!」と罵りたい。女性全体に対するサディズム傾向があったんです。ところが、あるときある女王様に催眠っぽいことをやられて、「あなたは本当はマゾなのよ」と言われた。それで、今まで自分がしてきたことは、本当は自分がされたかったことなんだと気づいて、それでスカトロに走った。女性は精子が出ないので、代わりに女性の排泄物に自分がまみれることを想像すると、興奮しちゃう。......とまあこんな分析はできるし、これはわりかし真実に近いかもしれないとは思うけど、でも絶対そうかと言われると、自分でもよくわからない。

 私は昔から好きなことに没頭しやすくて、さみしがり屋で人に嫌われたくない、捨てられたくないという傾向が強かったですね。だから、相手の欲求を必死でのもうとするのかも。

 よくテレビで識者が殺人犯の心理を分析してたりするけれど、あんなの、あちこちから取ってきたような浅い解釈だと思うな。そもそも犯罪者はひとりひとり違うのだから、一般論は存在しない。

勉強しているSMの女王様は安全な顔面に針を刺す


──では、性的倒錯は「病気」だと思いますか?

 性的倒錯そのものを「病気」と言われるのは違和感ありますね。僕が変態で困ることなんて、何ひとつないので。

 そう。誰にも迷惑かけてないし、自分も困ってない。平和に生活しています。

 実際、病気とは言えないでしょう。正常位しかしない人から見れば、バックや騎乗位をする人が「色キチガイ」に見えるかもしれないけれど、一般的にはそんなことないですよね。スカトロだってスパンキングだって、その延長。2人の睦ごとの範囲であれば、支障がない。

 そう。ほっといてくれという感じ。

 ひと筋縄でいかないのは、性的倒錯と精神病の要素が絡んでいる場合。暴力的傾向のある精神疾患を持つ人が事件を起こした場合、そこに性的倒錯がくっついていると、話題性があるからワイドショーで取り上げられやすい。でもそれは暴力的傾向に問題があっただけで、性的倒錯者だから事件が起きたわけじゃない。

 SMだって、ただ適当に相手を傷つけてるわけではないですからね。流血プレイをする女王様は、身体の構造をきちんと勉強しているので、たとえば腕を切るときは、危険がないように動脈がない外側を切るんです。針を刺すのは、傷の治りが早い顔。安全面や、会社や家庭がある男性への配慮もしています。

──幼児殺害や猟奇殺人などが起きると、時にAVが悪者になることがありますが、AVは犯罪を助長するものだと思いますか? それとも、ガス抜きとして犯罪を抑制するものだと思いますか?

 見る人の教育レベルによるんじゃないですか? 欲情したらそのまま女性を犯していい、というような、女性の人権がない時代・国だったら、AVを見せて男性を興奮させたら、間違いなくレイプ事件が起きるでしょう。だけど、ちゃんと教育されていれば、AVを見てもオナニーという代替行為で済む。ただし、僕はロリは断固反対ですね。子どもが大人の性の商品にされるのはダメ。「子どもに対する犯罪をなくすために、児童ポルノがあったほうがいい」とは思わない。アニメならいいかもしれないけれど。

 実際、そういったマンガやイラストを見てお店に来るお客さんもいますよ。私、見た目がロリ風だから、あるマンガのコスプレ衣装を持ってきて、「これを着てうんちして」と言われたり。でも、だからってその人が実際に幼女を誘拐することはないでしょう。それは、ちゃんと人間形成ができているから。犯罪に走る人は、その部分が欠如している。

 結局、想像力の問題じゃないですか? 子どもにも人格がある、未来がある、ということを想像すれば、手は出せません。人殺しもそう。相手の生活、人生を想像できる人は人を殺さない。そういうことをまったく考えられない、想像力の欠如した人、人間性の欠如した人が犯罪を犯す。性的倒錯者かどうかという問題ではないと思います。

右:ラッシャーみよし(らっしゃー・みよし)
1956年、 京都府生まれ。早稲田大学大学院露文科在学中から風俗雑誌の編集に携わる。その後、風俗ライター、ピンサロ評論家として活躍。89年、「ダイナマイト・スペルマ」(シークレット)でAV監督デビュー。いわゆる"ザーメンものAV"の第一人者。現在、メンズサイゾーにて「エロ業界栄枯盛衰物語」を連載中。

左:ミムラ佳奈(みむら・かな)
08年、『サムライポルノ レボリューション28 ミムラ佳奈』(サムライポルノ)でデビュー。ラッシャーみよし監督の『人間崩壊シリーズ03 ゲロスカ痴女 ミムラ佳奈 〜粘性ゲロ強制喉通おし、ゲロ顔騎、ゲロ・クソ大飲食、ゲラマチオ編〜』(ラッシュ)ほか、多数の作品に出演。今年9月、惜しまれつつ引退。

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