──一見、カジノができたら危ない!? 気がするパチンコ業界。そんな心配はよそに、着実に準備はすすめられているという。
勝手に予想! ギャンブルマネーを勝ち取る3企業
【左】セガサミーホールディングス株式会社
里見 治代表取締役会長
パチンコメーカー・サミーと、ゲームメーカー・セガが合併した総合エンタテインメントグループ。カジノ市場でトップシェアの米IGT、2位の豪アリストクラートとも提携。カジノホール運営のための布石か。
【中央】アルゼ株式会社 (11月より『株式会社ユニバーサルエンターテイメント』に商号変更予定)
岡田和生代表取締役会長
パチスロメーカーとして有名だが、海外ではカジノ事業も展開。ラスベガス、マニラに拠点を持ち、マカオでは世界最大級のカジノホテルも経営する。
【右】コナミ株式会社
上月景正代表取締役社長
現在、ゲーミング&システム事業という、カジノ向けの機器やマネジメントシステムの開発・製造・販売・サービスを展開。アメリカなどでカジノライセンスを取得し、主要都市で営業基盤を確立している。
カジノ法案成立で、既存の「賭博」パチンコ業界は食われる? と思われがちだが、そうでもないらしい。
「カジノとパチンコはゲーム性が違うから競合しない。一時的にはカジノに流れるかもしれないけど、すぐ戻ってくると思うよ」(パチスロライター)
また、前出の日本カジノスクール校長・大岩根氏も「カジノ経営を支えるのは、ハイローラーと呼ばれる大金持ち。すみ分けはできる」と否定的。むしろ大歓迎の企業も多いようで、合法化を見据えてか、「パチンコなどのメーカーは、海外企業と提携するなどし、国外でカジノ事業を展開し始めている」(パチンコ業界関係者)らしい。
では具体的にどの企業が笑うのか? 「世界的遊技機メーカーIGT等と提携するセガサミー、マニラのカジノ建設に約2500億円を投じるアルゼ、遊技機やホール運営システム提供で、08年度に約183億円を売り上げたコナミは強い」(メーカー関係者)
もちろん、国内企業だけではない。
「まず、海外のカジノオペレーターが入る可能性はあります。彼らは日本を『ラストフロンティア』と呼んでいるぐらいですから。カジノ運営ライセンスに期限を設けて、数年後に地元企業に権利を譲渡する、と法で定めて、まず外資が運営、後に地元企業が引き継ぐ、という方式がとられる可能性もあるでしょうね」(大岩根氏)
逆に、乗り遅れる企業はどこか?
「最近好調の京楽、パチスロ一筋でシェア上位を確保する山佐などは、カジノ関連の動きは聞かない。もし食い込むつもりなら、出遅れるだろうね」(前出メーカー関係者)
ならば、パチンコ合法化の影響は?
「売上高が2兆円を超えるのに、換金のグレーな部分を理由に上場できないマルハンなどはうれしいはず」(業界筋)とか。だが、不安材料もある。
「換金に公益法人が絡んだり、パチンコ税ができたりして、中抜きが増えたら出玉に跳ね返る。それで客が減れば、業界は痩せちゃうよ」(前出ライター)
また、ほかの賭博との関係で規制される可能性もあるという。
「パチンコは、客が払ったお金の約9割が出玉で還元される。宝くじや競馬は約7割だけど、当たれば億単位だからみんなやる。パチンコは今規制が厳しくて、大勝ちでも10万円程度。もし還元率を同程度に規制されたら勝つのは無理。誰もやらなくなるよ」(同)
合法化が規制強化を伴えば、パチンコ一筋の企業は厳しくなるだろう。
ところで、カジノができれば雇用が生まれるはず。ディーラーもしかり。
「カジノテーブル1台にディーラーは4人。ホールにテーブルが1000台あれば、ディーラーだけで4000人の雇用が生まれますよ」(大岩根氏)
ならば、入校者数も増加している?
「開校した04年から、残念ながら右肩下がりです。02年から04年の『お台場カジノ構想』のあたりが一番盛り上がっていたんですけど、それ以降は、合法化の見通しが立っていないので。一日も早い合法化に期待しているんですけどね」(同)
とはいえ合法化後の笑う企業入り必至。今のうちにディーラーの資格を取得しておけば、あなたも笑う側に?
(文/逸見信介)