「アナログ」の文字は、CMになるとどうして消えてしまうんですか?

photo by Roo Reynolds from flickr

今回の回答者:株式会社フジテレビジョン 視聴者センター

 アナログ。

 テレビ画面の右上隅に出るこの文字にイライラしている人は数多くいることだろう。僕も、あれを見るたびに「もうわかったからいいだろ」という気分になる。

「いつまでこんな古いテレビで見ているんだ?さあ、早く買い換えろ」

 そう脅迫されている気がするのだ。まるで街金の取り立てのようなしつこさである。

 だが、まだ普通にテレビを見ているときはがまんできる。不快なのは番組を録画したとき、特に永久保存版にしたいような番組を録画したときだ。貴重な番組の画面の隅にも「アナログ」の文字。それは永遠に残り続ける。まるで罪人の刺青のようじゃないか。刺青だって最近は消すことができる。しかし「アナログ」の文字は消せない。刺青よりタチが悪い。

 そんな中、絶対に「アナログ」の文字が出ないことがあるのにお気づきだろうか?

 そう、「CM」である。

 CMだけは「アナログ」の文字が入らない。そこで今回はこの件について直接聞いてみるわけだが、その前におさらいとして、「アナログ」の表示の件から聞いてみることにする。

 フジテレビ視聴者センターに直接聞いてみた。

『アナログの文字が気になるのですが、消すことはできないんですか?』

担当者 気になるかもしれないんですが、表示することになっておりますので。

──あの表示は国のほうから指示されているんですか?

担当者 総務省が管轄となっておりますので、地デジに関しましては総務省が窓口といいますか、総務省が行っているものですので。

──なるほど。

担当者 ですので、その「アナログ」という文字は、フジテレビだけが、表示しているものでもありませんし、どのテレビ局も、そのような表示をしておりますので、フジテレビの番組に関しては、フジテレビが出しているということです。

──つまり、局の判断で出しているということですか?

担当者 いえ、局の判断ということではなく、「フジテレビだけが消す」ということができませんし、しておりません。

 何を言っているのかさっぱりわからない。

 では、本題。

『「アナログ」の文字はCMになるとどうして消えてしまうんですか?』

担当者 申し訳ないのですが、CMについては、フジテレビが制作しているものではなく、各CM制作会社や、企業が作っているものですので、(フジテレビとしては)関与しておりません。

 なんだ、この答えは。関与していないって。一応、自分の局で放送しているものなのに、この答えはどうなんでしょう。ちなみに、CM枠で流れている自社の番組やイベントに関するCMにも「アナログ」の文字は入っていない。あれも関与していないのか。まさか。

 さて、「地デジについては、総務省に聞いてくれ」と言われたので、同省地上デジタルテレビ放送受信センターに聞いてみたところ、こんな答えが返ってきた。

担当者 こちらのほうでは、ご意見として伺っただけで、あとは放送局などにお願いしていただきたいんですけども。

 とんだたらい回しである。
 
 こんな基本的な疑問にもちゃんと答えられない時点で、「地デジってやっぱりあやしい」と思われても仕方ないのではないか。

 で、結局、誰が儲かるんだ?

[株式会社フジテレビジョン]
1959年3月1日に開局した放送局。売上高5700億円を誇る、国内屈指のテレビ局であり、2008年10月1日には、認定放送持株会社「株式会社フジ・メディア・ホールディングス」に移行し、同社の子会社となった。

やまな・ひろかず
1967年、東京にて誕生。放送作家。『行列ができる法律相談所』『ザ!鉄腕!DASH!!』(ともに日テレ系)などを手がける。この秋のテレビは、かなり番組が変わります。でも、司会者だけ決まっていて、まだ内容が固まっていない枠もあるという話も。いまや番組が終わる理由は視聴率だけではない、という世知辛いご時世です。

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