ヒットチャートを席巻したWinkのさっちんこと鈴木早智子。相変わらずステキでした!
衝撃の発表からおよそ1カ月。芸能人専門AVレーベル「MUTEKI」が、節目となる10作目に起用したのは、あの元Winkの"さっちん"こと鈴木早智子だった! 国民的アイドル・デュオからMUTEKI出演へ、さっちんの中でいったい何が起きたのか、出演の経緯から当時のWink時代の秘話まで、すべてをさらけ出してくれた。
──9月1日に話題作『September Shock』がリリースされました。今どんな気分ですか?
鈴木 まだ実感はないですね。発売前はどう受け止めてもらえるのか不安もありましたけど、今回の作品は自分自身、納得した上で挑戦したものなので後悔はしていませんし、この経験を、私の原点でもある「歌」につなげていければいいかなって思ってます。
──リリース前には、さまざまな憶測や報道が飛び交いましたが、出演までの経緯をお聞かせください。
鈴木 今年の3月にMUTEKIさんからお話を頂いて、4月に海外で撮影してきました。9月25日に出る『one track memories』という写真集とDVD(ともにGTO)の撮影も一緒にやったので、かなりハードなスケジュールでしたけど、逆に集中して撮れたと思います。私にとって挑戦の連続でしたが、身も心も体当たりして、すべてを燃やし尽くして帰ってきた感じです。
──7月末にMUTEKI公式サイトで「イニシャルS」と予告が出た後、8月3日に公式発表となりましたが、この間、ブログなどで「ソフトAV出演は絶対ありません」と書いていましたよね。
鈴木 あれも、嘘をついていたわけじゃないんですよ(笑)。今回の作品は、来年公開される主演映画『その愛の向こう側』(仮題)を中心とした写真集や作品も含めたプロジェクトのひとつで、いわば映画のスピンオフ企画のようなもの。映画の中に登場する「添い遂げられなかった男女の一夜」をモチーフに、また違ったアプローチで表現した作品なんです。確かにスピンオフ作品が本編より先に出るなんて見たことないですし、わかりづらいかもしれませんが、私の中ではAVではなく、あくまで映画と連動した作品の一部なんです。
──でも、MUTEKIは芸能人専門AVを謳っているレーベルです(笑)。
鈴木 たぶん男性の方はよく知っていたんでしょうけど、私の中では世間でのMUTEKIさんのイメージがまったくなくて。それで「AVデビュー」の先行報道になっちゃったと思うんです。最初は私のファンのブログで見て、「何を言ってるんだろう?どうしてそんな発想になるのかな」ってすごく不思議で意味がわからなかった。後から聞いて、だんだん「ああ、そういうことなんだ」ってわかりましたけど。でも普通に考えれば、年齢もあるし、「今さらAVはありえないだろ」って考えてくれなかったのかな(笑)。
──とはいえ、今回の作品ではヌードはもちろん、ベッドシーンやSMチックなシチュエーションにまで挑戦しています。そこまで決断した理由は何なのでしょうか?
鈴木 それはやっぱり映画ですね。実はWinkが活動休止してからも同じようなオファーは何度もあって、ずっと断ってきたんです。ある人には「脱がなきゃスターにはなれない」って言われて、「なら、結構です」って言い返したこともありました。今回も、ただ脱ぐだけだったらやらなかったと思うけど、やっぱり映画という表現は挑戦しがいがあって、ちょうど40歳という節目でもありましたから。私、今までの自分の壁を破る挑戦をしたかったんです。
──Wink時代からのイメージもあるし、不安は感じませんでした?
鈴木 もちろん決断するまではかなり悩みました。自分より、家族やファンの方がどう思うかなと。でも、新しい自分も受け入れてほしいですし、そこは言葉よりも作品を見て評価していただけたらと思ってます。
──作品では、セクシーな表情も印象的です。実際の撮影の様子を教えてください。
鈴木 とにかく、私の中ではかなり頑張りました。ベッドシーンは20分くらいでしたが、流れは決まっていても、実際には自分で考えて動かなきゃいけないし、どうカラむかなんて自分でもわからないじゃないですか。セリフも一切ないし、本当に難しかったです。ただ、私の中では女性が見てもキレイだなって思ってもらえるような映像をイメージしていたので、俳優さんとコミュニケーションを取って、あまり生々しくならないようには相談しました。そのかわり表情にはかなり気を使いましたね。 一番怖かったのは、目隠しで拘束されるシチュエーション。手錠や目隠しなんかの小道具はオシャレなんですけど、見えないって本当に怖いんですよ。だからあのシーンの表情は素に近いと思うし、監督さんの狙いもそこにあったのかもしれません。そういえば監督さんがまた笑える人で、「じゃあ次は騎乗位で」とか平気で言うんですけど、あの言い方には戸惑いました(笑)。終わった後は、スタッフさん全員から花束を頂いて、「できた!」って涙が出るほどうれしかった。納得してやった挑戦だし、今の自分にとって精いっぱいのことをぶつけられたので、そういう意味では悔いなく、充実できたなって思っています。
──作品のインパクトは強烈です。映画の撮影もありますし、これからは本格的に女優としても活動するんでしょうか?
鈴木 年内は、映画の撮影で女優業に集中することになります。ただ、私の原点はあくまで歌だと思っていますし、ヌードの仕事はこれが最初で最後。今回の経験を、来年以降のライブ活動に生かしていければという思いです。
──ちなみに、ギャラは一本××××万円という報道もありましたが。
マネージャー そんなに少なくありませんよ(笑)。
不仲説が先行したWink活動休止の真相
──それにしても、Wink時代は「神秘的な空気をまとう、笑わない美少女ユニット」というイメージでしたが、今お話を伺うと、表情も豊かだし、よく笑います。当時とは、何か変わったことはあるんですか?
鈴木 Winkは歌や踊りだけじゃなく表情まで含めた世界観があったので、舞台ではその世界に入っちゃってて、緊張してたんですね。おかげで「やる気がない、無表情」なんて批判もされましたし、そのイメージはずっとついて回っています。でも普通に考えれば無表情な人間なんていませんし、普段の私はいつでもありのままでしたよ。ホント、イメージって怖いんですよね。
寡黙な印象とは裏腹に、饒舌にAV出演騒動や過去の活動を語る姿が印象的。
──88年夏にデビューした時は19歳でした。実は3枚目のシングル『愛が止まらない』でブレイクするまで、デパートの屋上や催事場でのキャンペーンも経験したとか。
鈴木 お客さんも数えるくらいしかいなかったけど、私は子どもの頃から歌が大好きで、その気持ちだけで歌手になったようなものなので、全然苦にはなりませんでした。それに、もともとWinkはアルバム・アーティストというコンセプトでスタートしていて、生意気ですが、人気よりも「いい音楽を作りたい」っていう気持ちが強かったんです。ところが『ザ・ベストテン』(TBS)のスポットライトに出たのがきっかけで、会場にも目に見えてお客さんが増えてきて、事務所も「こうなったら、アイドルで売れてくれたほうがいい」なんて(笑)。自分たちは変わってないのに、なぜなんだろうって不思議でしたよ。
──芸能界の居心地はどうでした?
鈴木 私も(相田)翔子も人見知りだし、レコーディングとライブ以外の仕事は、正直いって苦手でしたね。忙しさでプライベートも自由に動けなくなるし、気持ち的にもいっぱいいっぱいで、「いずれは人気が落ちて、人も周りからいなくなるんだろうな」なんて考えて、勝手に23歳で引退しようって思っていた時期もあったくらいです。
──当時の芸能界は、いわゆるアイドルらしさが求められた最後の世代でしたが、恋愛も厳しく管理されていたようですね。
鈴木 もちろん、彼氏はいました(笑)。別な業界の人が多かったかな。あ、多いといっても2人だけです。意外とひとりと付き合うのが長いタイプなので。もちろん事務所には報告してました。ただ、忙しかったから会うのはほとんど家で、私はいつもスッピンに部屋着。Winkは衣装の着替えも多かったので、プライベートはほとんど部屋着にサンダルみたいな服で出勤してましたから。そのせいか、いまだにオシャレをして待ち合わせをして、っていう普通のデートは憧れなんです。しかもマスコミにばれちゃうと、事務所から「しばらく会っちゃだめ!」って言われてホテルに何カ月も監禁されたり。決して悪いことをしてたわけじゃないんですけどね。
──そのWinkの活動が終わったのは96年です。突然の活動休止はマスコミでも話題になりましたが、何が原因だったのでしょう?
鈴木 実は、私にもいまだにわからないんです。ある日事務所から「活動休止するから」って知らされただけで、「エッ?」って感じでした。芸能界ってわからないですよね。
──翔子さんとの不仲ではなかった?
鈴木 当然、言われるとは思います。でも、2人の仲は至って普通だったし、2人とも「なんでだろうね?」って感じでしたよ。
──その翔子さんですが、昨年は結婚。さらに年末のレコード大賞では久しぶりにステージでの共演もありました。
鈴木 ちょうど結婚の報告をもらったとき、仕事で大阪のホテルにいたんですが、梅酒を買ってきて部屋で祝杯を挙げたんです。それを写メールで送ったら、「私も梅酒飲んでた!」って。偶然ですよね。翔子は結婚願望が強かったし、結婚式でも「やっと結婚かぁ」ってうれしくて、もう親戚のオバサン状態でした。私ですか? 周りもあきらめてます(笑)。もう結婚は憧れって感じではないけど、いつかは人生のパートナーは欲しいですよ。老後にひとりは嫌だなって気持ちもありますし。レコ大も当時のヘアメイクさんにやってもらったりして、同窓会みたいで楽しかったです。リハーサルでは簡単な振り付けも忘れちゃってましたが、本番は肩の力も抜けて2人で、「気持ちよかったね」なんて話しました。
──ところでMUTEKI出演に関して、翔子さんには報告しました?
鈴木 知ってるとは思うんですけど、特に何も連絡してないですね。もちろん聞かれたら言おうとは思ってるんですが、なかなか説明が難しくて(笑)。
(構成/常田裕)
鈴木早智子
1969年2月22日生まれ。歌手、女優。88年、相田翔子とともに、Winkとして『Suger baby love』でデビュー。『愛が止まらない ~Turn It Into Love~』『淋しい熱帯魚』などメガヒットを連発するも、96年に活動休止を発表。その後、これまでに3度限定復帰している。