――時代とともに移ろいゆくヤンキーたちのスタイルを10年単位で区切って紹介しよう。
■暴走族が国道を我が物顔に
ヤンキー誕生の時代
[スタイル]夜な夜な街に繰り出し、「暴走行為」「集会」を行う。当時は、走り屋的な組織と武闘派組織とに大別できた。日本で一番有名な暴走族・ブラックエンペラーが最盛期だったのもこの時代。
[ファッション]70年代後半に革ジャン・革ツナギのバイカースタイルに別れを告げ、特攻服が誕生する。土木作業員ご愛用のドカジャン(襟にボアがついたジャンパー)なども流行。
[キーワード]人物/矢沢永吉 音楽/キャロル、クールス 書籍/『俺たちには土曜しかない』(瓜田吉寿/二見書房) 映画/『爆発!暴走族』(石井輝男)、『ゴッド・スピード・ユー』(柳町光男)
■ツッパリは学校と持ちつ持たれつ
ヤンキーの隆盛と全国化
[スタイル]学内のトイレや校舎の裏などでタバコを吸う、あるいは近隣の対立する学校同士でケンカをするなど、あくまでも学校生活という枠内でのみ「反体制・校則無視」を貫く。
[ファッション]短ラン長ラン、ボンタンといった変型制服でセンスを競い合う。極めつけは裏ボタン(学ランのボタンを留める内側ボタン)で、龍や虎の柄やアイドル(キョンキョンや工藤静香)の顔がプリントされていた!
[キーワード]人物/仲村トオル、哀川翔 音楽/横浜銀蝿、嶋大輔 漫画/『BE-BOP-HIGHSCHOOL』(きうちかずひろ/講談社)、『湘南爆走族』(吉田聡/講談社)雑誌/「ティーンズロード」(ミリオン出版/89年創刊)
■チーマーが深夜の繁華街で大暴れ
細分化されるヤンキーたち
[スタイル]登場自体は80年代中期だが、90年代に社会問題化。ナンパやケンカを目的に、渋谷や池袋などの繁華街をたむろ。90年代後期には、ストリートギャングなどに派生していった。
[ファッション]ヴァンソンの革ジャン、ヴィンテージジーンズ、ゴローズのアクセサリー、レッドウイングのブーツといった"渋カジ"が典型。あと、ロン毛!
[キーワード]人物/東幹久、野尻佳孝 漫画/『TOKIO』(中原裕/小学館)、『TOKYO TRIBE』(井上三太/宝島社) 書籍/『池袋ウエストゲートパーク』(石田衣良/文藝春秋) 映画/『カラーズ 天使の消えた街』(デニス・ホッパー ※チーマーたちに強い影響を与えた)
■下流系Bボーイわんさか登場
"再ヤンキー化"する時代
[スタイル]深夜のドン・キホーテで遭遇率高し。「B」といっても、別に熱心なHipHopリスナーというわけでもなく、「Bっぽい」というのがミソ。決してB-Boyではない。ファッションパンクみたいなもん。
[ファッション]原宿・竹下通りや渋谷・道玄坂で黒人(アフリカ諸国からの出稼ぎ)が客引きをしている洋服屋で売ってる、ただデカいだけの激安服を着用している。ブランド名すら不明のものが多い。
[キーワード]音楽/ZEEBRA、ANARCHY、EXILE(熱心に聴いているのはコレ) 人物/K-DUB SHINE(人物としてのほうが面白いのでココに) 漫画/『闇金ウシジマくん』(真鍋昌平/小学館)
■不滅!これが「未来の不良」だっ!!
核戦争でもヤンキーは死なない
[スタイル]20XX年、北朝鮮の核爆弾(誤写)によって、荒廃の大地と化したネオネオ東京に出現したニュータイプ・ヤンキー。CIAが背後で操る自警組織との抗争を繰り広げている。まぁ、一言でいえば、"マッドマックス"で"爆裂都市"で"AKIRA"なヤツです。
[ファッション]革製の放射線防護服(発明品です)を着用。ただ、腕、足ともに丸出しなため、効果がない。機能性よりも見た目に重きを置くのが、ヤンキーファッションの常。
※たとえ人類が絶滅しようと、ゴキブリとヤンキーは生き残る。生命力と時代への適応能力がズバ抜けた彼らなら、できるはずです!というわけで、ヤンキーが今後どのような変化を遂げるのか勝手に予想してみました……。