今回の回答者:日清食品お客様相談センター
今年の春のテレビ業界の変わりようといったら。特に私の主戦場であるバラエティ界は、「激震」が起こったといっても過言ではない。ご存じの通り、日テレとTBSが19時台にぶち抜きで帯番組をスタートさせたからだ。そのため、長年19時台で親しまれてきた人気バラエティがほかの時間帯にお引っ越しと相成った(番組を担当するスタッフの立場からすれば、ちゃんと家賃=視聴率を払っていたのに強制退去させられた感じ......)。
自分のやってるレギュラーでいうと、『ぐるぐるナインティナイン』(日テレ)が各局の看板バラエティひしめく木曜20時へ枠移動。さらに日曜20時の『ジャンクSPORTS』(フジ)のウラに『うたばん』(TBS)が移ってきて、これまで以上の激戦区に。ほかの枠も、19時台でブイブイいってた強豪がド〜ンとウラに来たことで、明らかに勢力分布図が変わりつつある。局のおエラいさんの決定に、我々のような出入り業者は1ミリも逆らえないが、ひとりの放送作家としての本音を言わせてもらうなら「みんなそれなりに仲良く共存してきたものを、何してくれてんねん、ホンマに!」と大阪弁で嘆きたい気分である。
さらにこの春、もうひとつ劇的に変わったものがある。そう、永遠の定番ロングセラー食品、日清の「どん兵衛」「焼そばU・F・O」が、誰も頼んでないのに一気に「麺がストレート化」したのだ。それだけじゃない。私がこよなく愛し、焼酎のツマミにピッタリだった「カップヌードルの肉」が角切りチャーシュー「コロ・チャー」に。早速食べてみたのだが、豚の味が強く出すぎてて個人的にはイマイチ。もちろん「カップ麺は縮れているからこそウマイ」と思ってるので、「ぴんそばFUCK OFF!!」なのであった。
だから直接、日清食品お客様相談センターに聞いてみた。
『どん兵衛やU・F・Oの麺は縮れているほうが美味しいと思うんですが、なんでストレートにしちゃったんですか?』
担当者 あ〜(タメ息気味に)。はい......。やはり、あの、麺を変えることによって評価をいただくこともあり、また前のほうが良かったという意見もございまして......。私どもも、あの、その都度その都度でいい商品をつくろうとやってはいるのですが......。やはり昔のほうがなじみもあったし美味しかったという意見がありますね(無念そうに)。
──なのに、なぜストレートに?
担当者 もともと(生麺のように)ストレートの麺を目指してはいたんですけど、最近になってようやく技術が追いついてきたということなんです。
──その技術の開発は、大変だったんですか?
担当者 数年かかりましたね。生産ラインの設備なども、変えなければならないので。
担当者のコトバのニュアンスの端々から、やはり保守的な(!?)私のようなカップ麺ファンから「ストレート化反対!」の声がけっこう届いているのがわかった。では、もうアノ縮れ麺は一生食べられないのであろうか!?
担当者 たまに(社内外の)声としては「(縮れ麺とストレート麺の)両方というようなことで販売はどうか」という意見は出ております。いわゆる併売ですね。
おっ!じゃあ、もう検討中なのかよ。てか、それなら元のまんまでよくないか!? ──思わず今年の春の番組改編と同じ感想を抱いてしまった私なのでありました。
[日清食品]
1948年に創業した国内最大級の加工食品メーカー。58年には世界初となるインスタントラーメン「チキンラーメン」を発売。ちなみに「日清カップヌードル ライト」のCMやポスターでは、元フジの女子アナ内田恭子のセミヌードが話題となったが、上はチューブトップ、下はホットパンツでの撮影だったという。
さめはだ・もんぢゅ
1965年、神戸にて誕生。放送作家。『ぐるぐるナインティナイン』(日テレ系)、『さんまのスーパーからくりTV』(TBS系)などを手がける。今回のギモンに関して、日清の「どん兵衛」のそばとうどん、「焼そばU・F・O」「カップヌードル」(コロ・チャー入り)を一気に全部試食してみたら、思っくそ胸ヤケしてしまった。もうカップ麺をバカバカ食う年じゃないんだな......と、遠い目になるアラフォー男なのでありました。ゲフッ。