「サーフィンって、俺がいかにもやんなそうでしょ」
ダチョウ倶楽部の上島竜兵は、自信たっぷりにそう語った。初主演映画『上島ジェーン』で、なぜサーフィンという題材を選んだのかを尋ねてのことだ。
この映画は、後輩の有吉弘行と共にサーフィンに取り組む上島の姿を描いた"サーフドキュメンタリー"。だがもちろん、物語は一筋縄ではいかない。なかなか真剣に練習しようとしなかったり、地元のサーファーが海辺の環境保護について熱く語っているのを聞いて退屈そうにしていたり、サーフボードを壊したり……。やる気のない上島の姿をカメラがしっかり押さえている。それでも、本人にその自覚はあまりない様子。
「俺、退屈そうにしてました? 俺は俺なりに一生懸命やってるつもりだったんですけどね……」
いくら真剣にやっていても、それがほとんど伝わらない。それどころか、その真剣さが上滑りしてしまうことも多かったという。
「俺がわざと、こういうことをやったら面白いんじゃないかな、って思って演じてみた部分については、最終的には全部カットされていました。あんまり面白くなかったんでしょうね(笑)」
自分で狙ったアドリブはすべて空振りで、本人の意図しない素の言動がいちばん笑えるとは、さすが元祖リアクション芸人というべきか。生き様そのものをコメディに変えたという意味では、芸人・上島竜兵の魅力が詰まった映画である。この作品こそは「代表作、これと言ってなし」というギャグを持つ上島にとって、本当の意味での代表作になったのだろうか?
「そうですね、これは代表作になったと思います。完成したのを自分で見たときにも面白かったですから。サーフィンが好きな人もそうじゃない人も楽しんでもらえるんじゃないかと思います。俺は一生懸命サーフィンの練習をしたつもりなんですけど、見る方がどう思うかはわかりません(笑)」(ラリー遠田)
『上島ジェーン』
とあるサーフスポットに、1人の男がサーファーを目指し降り立った。上島竜兵48歳。職業・芸人。そんな上島の心意気を後輩芸人・有吉は感じとり、共に挑戦することに......。手探りでサーフィンを始める2人を待っていたのは、地元サーファーとのふれあいや友情、次々と巻き起こる事件と衝突、そして恋――。リアクション芸人としてリスペクトされ、舞台や執筆活動など、テレビバラエティーの枠に収まらず、その才能を発揮してきた上島竜兵が、ついに映画初主演。 "深夜番組のカリスマ"マッコイ斉藤監督の指揮のもとに挑む、サーフィンドキュメンタリー。
企画・監督/マッコイ斉藤 脚本/藤谷弥生 出演/上島竜兵、有吉弘行ほか 製作協力/太田プロダクション・SHO-GUN 製作・配給/ポニーキャニオン 5月9日よりシアターN渋谷にてレイトショー
うえしま・りゅうへい
1961年、兵庫県生まれ。肥後克広、寺門ジモンとのお笑いトリオ「ダチョウ倶楽部」の一員として活躍。自らの体を張った芸風でリアクション芸の第一人者として人気を博している。