――墓ビジネスといえば、創価学会がとりわけ熱心に墓苑開発に取り組んでいることを、ご存じだろうか? 学会は北海道から沖縄まで、多額の資金を投入し、全国13カ所に巨大霊園を展開。『創価学会とは何か』(新潮社)によれば、その墓の数は全部で約43万基にも及び、永代使用料と墓石代を合わせて、現在では1基100万円前後で売られているという。同書の著者で、創価学会に詳しいジャーナリストの山田直樹氏が、その成り立ちを教えてくれた。
荒涼とした造成地に整然と2万6000基の墓石が立ち並ぶ、「はるな平和墓苑」。
「そもそも既存の仏教からの改宗者の多かった学会員は、在来仏教の境内墓地で学会独自の法要を営むなど、墓地トラブルが絶えなかったんです。そこで自前で墓地開発を始め、77年に完成した北海道厚田村(現・石狩市厚田区)の『戸田記念墓地公園』を皮切りに、墓苑事業を全国に展開させていきました。しかも、当時から信者数700万世帯以上という巨大なマーケットが存在していましたので、宣伝費が一切かからず、作れば作るだけ信者に売れたんです。墓石の原価は、販売価格の4分の1程度といわれています。その上、宗教法人なので土地部分は非課税で、墓石も軽減税率の対象となるため、学会にとって墓苑事業はまさに"カネのなる木"なんです」
「週刊ダイヤモンド」(ダイヤモンド社/04年8月7日号)の記事によれば、「墓苑事業の粗利益は50%以上か」ともいわれている。今回、取材のために群馬県のはずれにある「はるな平和墓苑」を訪ねたのだが、その光景はまさに圧巻! 同じサイズ、同じ色の小さな墓石が2万基以上も等間隔でビッシリと並び、通常の墓地とは全然違う雰囲気。また、墓苑の中心の一等地には、牧口常三郎(第1代会長)、戸田城聖(第2代会長)の墓に並んで、なぜかまだご存命である池田大作センセイの墓が......。
全国13カ所、すべての学会の墓苑に池田センセイ&歴代会長の墓はあるという。ゴイスー。
「以前から学会では、生前に自分の墓を購入することが普通に行われてきました。学会は現世利益を追求する宗教。"墓をたくさん持てば、福運がつく"との池田先生の言葉に煽られ、お金のある会員たちは複数の墓を生前から購入するんです。つまり、墓を買うこと自体が功徳を積む行為なんですよ。そのため、中には自分の住居からはるか遠い場所であっても、信心をアピールするために無理して購入する者もいるようです」(山田氏)
過去には地元住民の反対に遭って墓苑の建設計画が頓挫したこともあるが、こんなに墓を求めてやまない学会員たちがいる限り、学会の墓苑ビジネスはさらに拡大していきそうだ。
(文/野中ツトム(清談社))