長年業界において"トバシの東スポ"の異名を取る東京スポーツ新聞。そのエンターテインメント性溢れる紙面づくりから、業界では一目置かれた存在である。ここではそんな東スポ記者に集まってもらい、一般にはうかがい知ることのできない裏話を語り合ってもらった──。
[座談会出席者]
A・B・C・D......いずれも東京スポーツ新聞社記者、社員、関係者。──今日はマスコミ業界の中でも独特の芸風で存在感を示している、天下のエキサイト夕刊紙・東京スポーツの皆さんに集まってもらいました。業界内に多い東スポファンに向けた、同紙の魅力と紙面づくり、そして多少の内部事情について、語り合っていただければと思いますが、まずはザックリと"東スポ的に"昨年のマスコミ業界を振り返ってください。
A 昨年は北京オリンピックもあったし、それなりに盛り上がったと思うよ。五輪関連では星野ジャパン批判がウケたし、その後のWBC監督問題記事の反応もよかった。ウチでやった「WBC監督候補にボビー」なんか、ほとんど可能性がなかったにもかかわらず、記事を読んだボビー・バレンタイン本人がその気になったりして話題になったからね(笑)。
B ただ、野球やサッカーの人気が相対的に落ち込んでいる影響もあって、レギュラー・シーズンでの記事の反応は弱かったかも。それより、スキャンダルまみれになった大相撲や、石川遼や上田桃子、古閑美保、横峯さくら、宮里藍とキャラ揃いのゴルフ界が面白かった。五輪でもオグシオみたいな美女アスリートも増えてきたから、東スポ的にはよかったんじゃないかな。
C 芸能も、「小室哲哉逮捕」や「川田亜子自殺」なんて大きな事件もあって、話題は豊富だったね。こうした大きな事件では、芸能事務所側にコビを売らない東スポらしい切り口を出せたと思うし、所属事務所のアミューズがマスコミを抑えていた「サザンオールスターズ活動休止」なんてスクープもいくつかあったし。
D その点、社会面はイマイチだったかな。三面記事的な切り口はいいんだけど、現実の政治や事件の動きがシビアすぎて"芸風"が生きる局面が少なかった。まあ、ウチの読者がストレートな政治・事件報道をどこまで期待しているかは怪しいけど(笑)。
──不況の波はマスコミ業界にも押し寄せているようですが、東スポさんはどうでした?
A 一応、日刊ゲンダイや夕刊フジ、内外タイムスといったほかの夕刊紙を全部合わせた発行部数より、東スポの発行部数は多いそうです。公称部数は180万部。といってもこの数字はかなり以前から変わっていない。あくまで"公称"でしかなく、実際のところは平日の実売が数十万部、土日の競馬面が1面に来る日でもその倍ってところかな。
C 当然、給料も減ってる(苦笑)。おそらくウチの給料はスポーツ紙の中ではかなりいいほうだけど、今じゃボーナスだけでも(10数年前の)全盛期の半分に減ってるからね。
D 今年のボーナス交渉では、東スポの歴史上、初めて臨時団交もやったそうだ。本紙が売れてないんだから給料が下がるのはしょうがないと思うけど、あまりに経営陣のビジョンがないので、危機感を持ってもらうためにあえて団交をしたらしい。このままじゃジリ貧になるのは目に見えている。
──厳しい状況に対応するべく、一昨年からかなり大がかりな人事異動も行っています。長年トップに君臨していた太刀川恒夫社長が会長に退き、江幡幸伸編集局長が社長に、局長の後釜には堀内良夫氏が就任しました。また、今年は若手のOさんが編集局長補佐に抜擢され、紙面改革の指揮を執っていると聞いています。その後の影響はいかがですか?
B いや、社長交代に関しては、ほとんど変化はないですね。今でも太刀川会長がニラミを利かせてるし、江幡社長は毎日のように局長にダメ出ししてますから(笑)。太刀川会長は、もともと児玉誉士夫(かつての東スポのオーナーで、右翼運動家の大物)の秘書を務めていただけあって、企業のトップから裏社会の大物まで人脈は豊富だし、ハラも据わっている。だからこそ、東スポの「自由な紙面」が育ったわけだし、いてくれなきゃ困るんだけど、ワンマン体制が長かっただけに、下が育ってない。
A 局長は写真部出身だけに、ちょっと不安なところもあって、こないだは「北の湖」を「きたのこ」って読んでたらしい(笑)。
D 北京五輪前に、記事を配信している共同通信が加盟社に北京取材の注意点をレクチャーしたらしいんだけど、「一歩でも裏路地に入ったら、すぐ中国公安当局にマークされる」と脅されて、ウチは記者の派遣を取りやめちゃったしね。以前の東スポなら、ちょっと無茶して「本紙記者 公安に逮捕」なんて記事を喜んで出してるはずなんだけど(笑)。
B 社長と局長の関係も、まだシックリいってないようだ。局長は「今の状況だし、面白ければ何をやってもいい」と宣言してるんだけど、社長は一般紙と同じようなクオリティペーパー志向が強いからね。
A でも、太刀川会長が社長時代に宣言した「東スポ・クオリティペーパー計画」発言って、実は「下品でもいいけど、簡単に訴えられるようなウソは書くな」って意味で言ったはずだった。それがいつの間にか「一般紙のような品のある記事を書け」になっちゃってるところには不安を感じる。
D 以前は「日付以外は全部ガセ」とギャグにされたくらいイケイケだったけど、さすがに今はそこまでトバせない。一昨年あたりまではバンバン抗議が入ったけど、昨年の記事で裁判になったのは数えるほどしかない。
A その半面、読者の考える"東スポらしさ"が記事から失われつつあるのかもしれないけどね。やっぱりウチの強みは「色のある」新聞ってところでしょう。
東スポ......、その歴史と魅力
「ツチノコ発見」(3月7日付)の一面。1959年に国民タイムズ新社が設立され、「国民タイムズ」を創刊。翌年、同紙を廃刊し、「東京スポーツ」(夕刊)を創刊して、東京スポーツ新聞社に社名を変更する。その後、64年に「大阪スポーツ」(夕刊)を、66年に「九州スポーツ」(朝刊)を、68年に「中京スポーツ」(夕刊)を創刊。メイン紙面は東京制作であるが各紙各々地域に密着した紙面も制作している。九州のみ朝刊として発行、独特な紙面づくりを行っている。
......と公式HP では紹介しているが、芸能では「聖子再婚」「綿谷りさ芸能界入り」、スポーツでは「松井あげまん女性募集」「大仁田 九スポを教科書に」、ネタものでは「カッパ発見」「人間がカエル出産」「人面魚復活」など、他紙の追随を許さない圧倒的スクープで一部読者の心を鷲掴みにしている、唯一無比の夕刊スポーツ新聞である。
東スポの顔・芸能は社内ではキワモノ扱い?
──ところで、現在の編集部の体制はどうなっているんですか?
A 大きく、運動部と文化部に分かれます。運動部は大まかに3班あって、以前の呼び方だと第一運動部が野球、第二がプロレス、第三がその他のサッカー、相撲、ゴルフ、一般スポーツ全体を担当しています。記者の割合はそれぞれ5:3:2くらいで、野球班だけ記者が異常に多い状況ですね。一応、デスクのOさんの方針で力を入れてるんですけど、今年話題になった大相撲やゴルフあたりは、人手不足でヒーヒー言ってるらしい(笑)。
C 文化部は芸能班と社会班が二本柱。ここにギャンブルや健康モノなどを扱う「EN楽」面やAV・風俗面の担当も入っている。ただ、こちらも記者の配属が妙なバランスになっていて、人気のある芸能担当は人が足りないのに、「EN楽」面担当は10人中9人がデスクっていういびつな構造になってる。
──各ジャンルの中で、読者の目から見て最も東スポらしい"芸風"を保っているのが芸能報道という印象があるのですが。以前と比べて変化はありましたか?
C 今の芸能報道は大手の芸能事務所にガチガチに固められてるからね。制作会見や発表モノのストレートニュースはテレビや朝刊がやり尽くしてしまうわけだから、テレビもオンエアしない、他紙も書けないようなネタが生命線になるし、それが東スポの"色"になっている。昨年、ウチで一番売れたのは、5月下旬、ちょうどダービーの時期に芸能で川田亜子自殺のニュースが重なった時なんだけど、川田関連ニュースではどの新聞よりも先行していたし、かつて川田と交際していた所属事務所幹部X氏の話とか、かなりディープな部分まで踏み込めたと思うよ。
B 撤退も早かったけどね。1週間連続で大きく扱ってたのに、週刊誌報道が追いついてせっかく盛り上がってきた頃には、逆にスッパリ手を引いちゃった。キャンペーン的にしつこくやればもっと売れたんだろうけど、社長が「もういいだろう」って飽きちゃったらしい(笑)。
A そういえば川田事件のとき、「周辺住民の1人が川田の霊を見た!」って原稿が若手記者から出たそうだけど、さすがにそれは載らなかった。このあたりは、昔とは完全に違っているところだ。ついでに言っておくと、今は根拠のないトバシ記事はほとんどないはず。以前、三浦和義のロス疑惑報道で訴えられて、「東スポの記事を信用する読者はいない」という勝訴判決を受けたことが伝説化してるけど、あれも高裁では敗訴しているわけだし、ましてや著作権や名誉毀損にウルサい今の状況じゃ、一発で訴えられるのは目に見えてるからね。
D それはともかく、小室逮捕でも、マニアックにならない程度に芸能界の裏事情に踏み込んだ記事が目立っていたし、話題になった「週刊現代」(講談社)の「嵐・大野の大麻3P疑惑」の後追いでも、同時期に起こった"事務所幹部社員の自殺"というジャニーズの内部事情にまで触れていたのは東スポだけだった。
C 今の東スポのポジションがよくわかるのが、昨年5月の「サザン活動無期限休止」の記事。東スポが1面でスクープしたんだけど、世間は「また東スポがトバしてるよ」なんて感じだったでしょ。ところが芸能マスコミの反応は、「やられた!」だった。それも当然で、この情報自体は他の芸能マスコミもみんな知ってたんだ。ただ、報道協定じゃないけど、所属事務所やレコード会社の要請で正式発表があるまで書けなかったんだ。
D ウチもタブーがないとは言わないけど、勝負はするからね。芸能面のキーになっているのが名物デスクのHさんで、マスコミ業界だけでなく、取材対象である芸能界にも名前が知れ渡っていて、抗議にもうまく対応してバランスを取っている。芸能界サイドにしてみれば「無視してバンバン書かれるくらいなら、ちゃんと話したほうがまだマシ」って思ってるのかもしれないけど(笑)。
A これは運動部も同じなんだけど、東スポファンのスポーツ選手や芸能人は結構多くて、向こうから「これって東スポさん向きでしょ」ってネタを振ってくれることも多い。軽い首脳陣批判や、ちょっとしたシモネタとか(笑)。あと、選手は下世話な話が好きだから、AVや風俗情報、芸能ネタのウラ話を教えてくれってリクエストも結構ある。
D 芸能事務所からはライバルタレントのスキャンダル情報をもらえることもあるしね。なかなか信用してもらえないんだけど、業界的にはスクープが多いといわれてる。実際、サザンだけじゃなく、昨年末にはユニコーン再結成を書いてるし、羞恥心の活動休止も最初にスッパ抜いた。「倖田來未復帰」なんて足を使った取材もしているわけだし。
B 年末に盛り上がった「沢尻結婚」や「NIGOと牧瀬里穂結婚」も、実は他紙が記事にする半年前に「年内入籍」と書いてたからね。まあ、これはちょっと早すぎだったけど(笑)。
C キー局のワイドショーからすっかりホサれてしまった芸能レポーターの梨元勝氏を起用し続けているのも象徴的だ。年末には、彼が発信した「山口百恵・三浦友和の息子がデビュー」なんてスクープもあった。
D ただ、最近の記事を読んでもらえればわかると思うけど、実はやみくもにスキャンダルを書き立ててるわけじゃなくて、悪意の籠った記事ってほとんどないはず。もちろん喧嘩するところはするけど、叩くより救いのある記事のほうが読者にもウケるし、東スポ的な切り口で読者に笑ってもらえるのが一番だとは思うよ。
C 芸能記事で問題なのは同業者の評価は高いのに、読者ウケがイマイチなこと。社内からもキワモノと見られて評価は低いし(苦笑)。
高校時代からの先物買い?ヤンキース松井との蜜月
──一方、運動部に目を向けると、東スポで真っ先に思い浮かぶのが99年の「本紙に協力要請 松井 バイアグラAV下さい」からはじまった一連の「松井秀喜AV好き」報道です。東スポとソフト・オン・デマンドが共催した「AV OPEN」の特別審査委員にも松井選手の名前がありました。相変わらず蜜月は続いてるんですか?
A 特別審査委員は帰国のタイミングが合わずに一度だけだったけど、関係はいいはずです。現在の野球担当のデスクは3人いるんですが、その中でもエース格が、「松井AV」を担当していたMデスク。そのMデスクの後に松井番になったA記者が数年前に異動になったときも、松井本人から「(Mさんは)外さないでくれ」って要請があったほど親密だったらしい。
B 昨年の松井結婚のスクープはサンスポに抜かれちゃったけど、サンスポは締め切りの関係で最終版にしか載ってなかったし、漁夫の利で詳しく報じたウチが一番得したかもしれない。
D 松井に関しては、高校時代から記者が食い込んで信頼関係を作ってきた積み重ねがあるから、いまだに「何書いてもいいよ」って言われてるからね。今オフでは、巨人のドラフト1位だった大田泰示選手に対して、松井が「エロ禁止令をアドバイス」って記事が出たけど、多分、あれって本人は言ってないと思う(笑)。
C 松井に関しては、編集方針のテキトーさを象徴するような事件もあったね。実は一時期、社内で松井のAVネタ禁止令が出たことがあるんだ。「松井は崇めるべきで、シモネタなんか書くものじゃない」ってことだった。さすがに今はなし崩し的に解禁されたけど。
D これは運動部全体にいえることだけど、スポーツ取材は日常的に直接選手と顔を合わせるから、どうしても批判しづらくなる傾向がある。それに、実際に取材できる時間は短いから、事前に欲しいコメントを想定した「ハメ記事」が多くなるため、「選手から直接話を聞ける記者が偉い」って風潮になりがちだ。
A でも、喧嘩はよくしてるよ。昨年もソフトバンク・松中信彦選手の交流戦優勝賞金の分配方法をめぐる発言で、「俺はこんなこと言ってねえ!」って激怒されて同チームから出禁になってるし、巨人の優勝原稿でも、「成績が落ち込んだ時期にコーチの入れ替えを検討したこともあった」っていうどうってことない記事でフロントから出禁を食らってる。巨人の広報は昔から強行で、詫びを入れたくらいじゃ許してくれないし、訂正記事を出さないとダメ。「だったら出禁でいいよ」ってなった。
B そういう部分を面白がってくれる選手もいるしね。ウチは朝刊と違ってメジャーな選手じゃないとまず記事にならないから、「東スポに書かれて初めて一人前」みたいなことを言ってくれる選手もいる。
C サッカーでも、昨シーズンに優勝した鹿島アントラーズからも、ずっと出禁を食らっているよね。きっかけは柳沢敦と梨花の交際記事(99年)だそうだから、かなり昔のことだけど(苦笑)。
D とにかく、朝刊と同じ内容じゃ意味がないし、東スポ色を出していくには多少の軋轢は仕方ない。そういえば、昨年は相撲でもウチの社カメ(社内カメラマン)が朝青龍に「死ね」だの「このヤロー」だの言われたせいで小競り合いをしていた。
C でも、実は最初に横綱の暴言記事書いたのはウチじゃないんだ(笑)。なぜか他紙が出てから、ようやく紙面化されていた。取材対象との距離感が大切なのはわかるんだけど、芸能に比べてスポーツ記事は先陣を切るのを怖がっているように見えるんだけど──。
A 何をやっても読者の反応がいまひとつなのも、こういう東スポらしい記事が少ないからだろうね。シーズン中に野球が1面にきても全然ダメだし、サッカーは1面すらめったにない。昔は力を入れていたプロレスでも厳しいようだ。
B 東スポは「プロレス大賞」も主催してるし、プロレス関連のマスコミの中ではエリート中のエリート。以前は現場取材もウチの記者が中心になって仕切ってたし、テレビ放送の解説者も務めてたくらい。ただ、今はプロレスというジャンル自体が下り坂だし、新しい格闘イベントがどんどん出てきて、他のマスコミも力を入れてるだけに、昔みたいに突出した存在ではなくなっちゃった。
C 今の格闘ファンは「アングル」(プロレス用語で、仕掛けや筋書きの意味)みたいな物語を以前ほど求めていない気がするし、結果だけならネットや携帯ですぐわかるからね。とにかく今のところ、辛うじて競馬の1面が調子いいくらいで、ほかは何をやっても売れないというのが正直なところですよ。
──ところで、宇宙人やUMAなどのトンデモネタや、マイケル・ジャクソンやマドンナなどの海外スターを取り上げた独特の記事も、最近減ってきた気がするのですが。
D なかなか話題にならないだけで、昨年も「ツチノコ発見」とかありましたよ。まあ、ただでさえ信頼感は低いわけだし、そればっかりやるわけにもいかないし。
A 担当する社会面の弱体化の影響もあるんじゃない? 若い記者は現場に行くより会社にいることが多いし、東スポ的な芸風を面白がる雰囲気も薄くなってきてるしね。
──では、最後に"東スポらしい"09年のマスコミ業界の展望をお願いします。
A だから、ウチも苦しいんだって(笑)。よそサマを気にかけてる余裕なんてない。とにかく"東スポらしさ"を強く打ち出して、読者に楽しんでもらえる紙面を作るしかないと思うよ。
(構成/小松 巌)
ウソだと思ったらスクープでした!
週刊誌記者が語る東スポの魅力
ここまでは、東スポの記者らに同紙の内部事情とその魅力たる理由を赤裸々に語ってもらったが、ライバルとも言える週刊誌の記者たちは、東スポの魅力をどのように見ているのだろうか?
「芸能面でいえば、朝刊スポーツ紙なんかは『ここの記事はバーニング(所属のタレント)でこの大きさだから、その下にはスターダスト(所属のタレント)でこの大きさで......』と、大手芸能プロのシガラミが記事作りに大きく影響されるけど、その一方、ネタがもらえたりする。でも東スポは、記者個人の付き合いや連載陣は別として、自前の記事で作ることがほとんど。だからトバシも多い......ってわけじゃないけど、記者のスキルが高い」(30代週刊誌芸能記者)
こうした記者の質の高さは、意外なところにも現れているようだ。
「今、朝刊スポーツ紙のデスクや名物記者に話を聞いてみると、東スポ出身記者が驚くほど多い。これは20年前、同紙で起きた後輩への鉄拳制裁による人材の流出が原因って話だけど、そのおかげで優秀な記者が各紙に散ってしまった。言い換えれば、各紙でのエース級の記者を揃えていたってことだよね」(30代女性週刊誌記者)
記者の質の高さは定評があるようだが、一方でこんな辛口の意見も聞かれた。
「一面が競馬だったら売れるって話だけど、もう少し東スポらしさでがんばってほしい。まあ、芸能記者のプライオリティが低いのは業界では有名な話なんだけど、それでも『トバシの東スポ』的な芸能記事の一面が読みたい。基本的に僕は、東スポの芸能記事はほとんどトバシだと思っているけど、(『みのもんた番組降板』『沢尻エリカ結婚』など)それがスクープだったりするところはスゴい」(30代男性週刊誌記者)
さすが東スポ! そして最後は、右肩下がりの待遇についても語られた。
「今、東スポ社員の年収って、全盛期の半分とか3分の1なんでしょ? 10年前は合計ボーナスが12カ月分出てたって話だけど(笑)。でも、給料がどんだけ減っても、記事をしっかりつくっているのはすごいよね」(40代写真週刊誌デスク)
これらの話を聞いても、同紙が"一目置かれた存在"であることに疑いはないが、各人「今の東スポに入りたいか?」という質問には、忙しさの割に待遇が低いからなのか、ほとんどの人が「入りたくない」という回答であった......。