稲垣吾郎の破局報道は話題作り? 現場記者が芸能醜聞の裏を暴露
「熱愛」「破局」「結婚」「妊娠」「復活」「逮捕」、そして「訃報」──。昨年もメディアを賑わせた、スキャンダルの中心にある芸能ゴシップの数々と09年の展望を、現場芸能記者たちが赤裸々に語る。
[座談会出席者]
A......夕刊紙文化部記者
B......朝刊スポーツ紙デスク
C......女性週刊誌記者
D......写真週刊誌記者A まずはこの年末年始のニュースを整理しておこうか。いくつか大きな話題があって、「稲垣吾郎と菅野美穂の破局」「沢尻エリカ、高城剛と結婚へ」、そして「飯島愛の訃報」というショッキングなニュースもあった。
B 稲垣・菅野の破局は日刊スポーツとスポニチの同時スクープになったけど、先行していたのは日刊スポーツ。夏頃から情報をつかんでタイミングを見ながら取材していたそうだけど、なぜか同日にスポニチも打ってきた。一説では、稲垣が所属するジャニーズが日刊スポーツに記事が出るタイミングで蜜月のスポニチにリークしたとか。
C まあ、今回の稲垣破局のリークは、年明けから始まった江口洋介との共演ドラマ『トライアングル』(フジ)の話題作りじゃないかって声もあるんだけど。年末に、「週刊文春」(文藝春秋)が「中居正広の実家に出入りする六年越しの彼女」を報じた通り、中居や香取慎吾に本命の彼女がいるのはつとに有名だったし、今年もSMAPの結婚問題は要チェックだな。
D そして沢尻結婚も日刊スポーツの年末スクープ。週刊誌や東スポでは、過去に何度も書かれていた話だけどね。情報自体は沢尻の母親周辺から漏れていたそうだけど、事務所発表じゃなかったところを見ると、所属事務所のスターダストプロモーションは、相変わらず彼女をコントロールできてなかったみたい。
成田空港では帰国を待ち受けた報道陣の前でも不機嫌な顔を見せていたけど、その後、サンスポが「元日入籍」と打ったこともあって、ずっとマスコミがマークしてたよ。結局大晦日にスポーツ報知が本人を直撃し、「1月19日明治神宮で挙式」を抜いてきた。
C 祝い事の一方、クリスマスイブに流れた飯島愛の訃報は衝撃的だった。死後1週間たっていたため死因がハッキリせず、自殺説や病死説などいろいろな憶測も流れていたね。
B 年明けには、「劇団ひとりと大沢あかね今春結婚」「中村勘太郎と前田愛の結婚」「元モー娘。辻望美が復活」なんてニュースも流れていたけど、もうひとつ復活でいえば、「X JAPAN復活プロジェクト」がようやくまとまって、カウントダウンライブが無事ネット中継されていた。でも、今月17日から始まったワールドツアーでは、バカ高いステージ機材がネックになってスポンサー料が跳ね上がり、(スポンサーだった)JALやJTBが降りそうになるなど散々ゴタついてた。
C 音楽がらみでは、やっぱり「小室哲哉逮捕」という事件が抜きん出ている。予想に反して早々に保釈されたのも、裏人脈について洗いざらいしゃべったからとか。保釈後の小室はエイベックス幹部がかくまっているようだけど、芸能界への事件の影響はこれからが本格的で、いろいろ出てきそうだ。
D 芸能界と裏社会では、先秋に「週刊新潮」(新潮社)がヤクザの組長の誕生日ゴルフに参加した細川たかしや小林旭ら5人の芸能人の名前を報じて、細川に至っては紅白歌合戦の出演を見合わせた。新潮側が取材で事実確認している最中は、記事を潰そうとした関係者から編集長やデスクの携帯電話が鳴りっぱなしだったらしい(苦笑)。
C 主催したヤクザの親分さんが山口組を除籍になったけど、彼は芸能界に顔が利く人物。親分の"力"を利用してハバを利かせてきた芸能プロが弱体化し、今年は芸能界の勢力地図にも変化があるかもね。
もはや"ネタ"か?泰葉の虚言と暴走
A 昨年の芸能スキャンダルでは、大麻・覚せい剤といったドラッグ関連の話題も何かと多かった。加勢大周(10月)を筆頭に、元AV女優の倖田梨紗とその交際相手のプロテニス選手の宮尾祥慈、プロウィンドサーファー・古矢英果(いずれも11月)、テノール歌手のジョン・健・ヌッツォ(12月)らが次々に逮捕。柳楽優弥が急性薬物中毒で搬送される騒動もあった。
D それだけじゃない。通常、ドラッグなど犯罪にかかわる疑惑を記事にする場合、基本的には逮捕されないと報じられないものだけど、昨年は「週刊現代」(講談社)が「嵐・大野智の大麻3P」「山本KID 所ジョージの元マネージャーとマリファナパーティー」と、第三者からの情報でイケイケで連発していたのは印象的だった。
C KIDが大晦日の総合格闘技大会に出場しなかったのも、対外的にはケガが原因だってことだけど、関係者の間ではこの記事の影響で主催者側が見送ったともっぱらだ。大野の記事では、ジャニーズと講談社の上層部が、編集部に相談もなく勝手に和解しちゃったそうだけど(苦笑)。
A 恋愛スキャンダルでは、ハードな1年を過ごしたのが浜崎あゆみ。年明けに恋人のマネージャーと破局したのはともかく、エイベックス松浦勝人社長との「親密ツーショット写真」や、「イケメン男性との密室キス写真」が流出し、さらに元カレのアメリカ人宝石デザイナーが、赤裸々なラブ・メールや交際ぶりを週刊誌に暴露。バックダンサーとの交際説も報じられていたね。
D 写真はどれも過去のものだったけど、印象的だったのは、「週刊新潮」に掲載された宝石デザイナーの"肉体関係"暴露記事。これは記事の元になった証言テープが存在しているようだけど、その内容は元カレの宝石デザイナーがコワモテに脅されてしゃべってるというもの。借金のカタか何かの不祥事で無理矢理しゃべらされているそうだけど、「(性行為後)どこで出したんだ!」なんて詰められ、「中で出した」とか話しているという(苦笑)。
B 暴露話でいえば、小向美奈子が所属事務所を解雇された後、11月に「週刊ポスト」(小学館)でやったセクシーグラビアも過激だった。写真以上に「グラビアアイドルの副業は売春」なんて暴露記事が話題になったけど、これはある芸能コーディネイターが間に入っていて、実は「週刊現代」にも売り込みがあったらしい。まあ、結局ポストが記事にしたんだけど、小向本人の話はかなりチグハグで、記事にするのが大変だったとか。
C 昨年の重大ニュースで外せないのが「川田亜子自殺」。自殺の原因と報じられた川田の事務所ケイダッシュの幹部は、さすがに事務所には居場所がなくて、目立つ仕事は事務所が経営しているカフェの通販くらいだけど、そこのプリンはすごく売れているとか(笑)。事務所でも彼のことを持て余しているのか、義理人情に厚いと評判の"芸能界のドン"ことバーニングプロダクション社長の周防郁雄氏が引き取って面倒を見るって話も出てる。
D ケイダッシュでは、今年も山田優が小栗旬との交際ネタを引っ張りそうだね。山田も伊藤英明と交際していた3年前は、伊藤がマジックマッシュルームの過剰摂取で病院に担ぎ込まれた事件もあってかなり気を使ってたけど、小栗ならイメージもいいし山田が看板モデルとして活躍している「CanCam」(小学館)の宣伝にもなる。関係者も「どんどん話せ」とイケイケで煽っているよ。
09年はエイベックスとナベプロが話題の中心に?
A 今年の芸能報道で言えば、注目はやっぱりエイベックスかな。スキャンダルまみれになった浜崎だけじゃなく、レコ大を獲ったEXILEにも利権関係でモメてるってウワサがあるし、松浦勝人社長イチオシのGIRL NEXT DOORにも強引な売り出しで社内から不満の声が出ている。映画『レッドクリフ』の大ヒットで持ち直した映画事業も、宣伝広告費が莫大なだけに、油断するわけにはいかない。
B ほかの大手事務所もパッとしないね。映画では『櫻の園』が大コケしたオスカープロモーションも、CMオファーだけは多い上戸彩以外は大きな話題になってない。スターダストも、映画以外に出版やペット事業などで着実に儲けているけど、柴咲コウの出演映画『少林少女』など、肝心の作品の質がひどくて、せっかく築き上げた女優のイメージに傷がついている。
C 表舞台には出てこないけど、安室奈美恵を復活させたヴィジョンファクトリーの創設者・平哲夫氏も、音楽制作のセンスを証明しただけに次の仕掛けも面白そうだよ。
D オレはワタナベエンターテインメントだな。もともと地力のある老舗だけど、今年は3月にみのもんたが降板する『おもいッきりイイ!テレビ』の枠に『ラジかるッ』(共に日テレ)の中山秀征が移って全国ネットになるし、フジを退社した大物プロデューサー吉田正樹が、奥さん(渡辺ミキ)が社長を務めるナベプロに行くって話もある。芸能マスコミの間では有名な、媒体担当のO氏もますます元気になりそうだ(苦笑)。
A ついでに言えば、テレビ局も大きな方向転換を迎えている。NHKでは、『紅白歌合戦』が3年ぶりに視聴率40%を超えて幸先がいいけど、民放はそうもいかないようだ。TBSでは筑紫哲也の後釜問題や福澤朗の『ピンポン』の終了が検討されているし、フジも共同テレビやセント・フォースと合弁した滝川クリステルのマネジメント会社「フォニックス」の設立などで、女子アナのタレント化を進めている。この状況では、制作費削減に悩む局にとって、タレント込みで制作も手がけることができるナベプロや吉本興業はますます重宝されるだろうね。
C 苦しいのは何もテレビ局だけじゃないよ。我々雑誌業界もかなり厳しい。「週刊プレイボーイ」(集英社)の休刊説や「週刊現代」「フライデー」(共に講談社)の合併話は相変わらず根強く流れてるし、他誌も軒並み部数を落としている。好調なのは、マンダリンホテルで忘年会を開くほど体力のある「女性セブン」(小学館)くらいか(笑)。
A とにかく、我々のネタのためにも、芸能界にはもっと元気に暴れてほしいね。
(構成/小松 巌)
なぜ、年末年始に芸能スクープが多いのか?
ここ数年の流れとして、芸能人の結婚・離婚などのニュースが年末年始のドサクサに集中するケースが目立っている。この年末年始も、「稲垣吾郎と菅野美穂の破局」を筆頭に、「牧瀬里穂とNIGO結婚」「富田靖子結婚・出産報告」「ともさかりえ離婚」といったスクープが飛び交った。そこには、こんな理由があるという。
「テレビは特番がビッシリ入っているし、週刊誌も印刷所の関係でほとんどは合併号を出して休んでいるからね。特に離婚などのネガティブな話題の場合は、早めに公表してしまえば話題になるまでタイムラグができるから、後追い記事も減るし、インパクトが薄まるメリットがある。たとえば長谷川京子が昨年10月下旬に結婚を発表したときは『妊娠はない』としていたのに、年末になってコッソリ妊娠を公表していたのは、『結婚はハデに、妊娠は地味に』っていう狙いだろうね」(芸能プロ関係者)
公式ブログや所属事務所からのFAXなど、タレント側から一方的に発表されるケースもあるが、多くの場合は特定メディアによるスクープとなっている。
「以前からつかんでいたネタでも、スポンサー対策などをしなくちゃならない事務所側から、『せめて書くのは年末にしてくれ』と頼まれたら断りきれない場合が多い。特にスポーツ紙は事務所との関係を悪化させることはできないからね。まあ、メディア側にとっても、年末年始のスクープは、仕事が休みということもあり、普段新聞や雑誌を読まない層にアピールしやすい時期ではあるんだ。最近では、この時期に合わせてネタを仕込んでいるデスクもいる」(スポーツ紙記者)
例年多発する年末年始の芸能スクープには、こうしたマスコミの"目に見えない苦労"があるのだ。