衆院選のウラで起こっていたこと
結果として与党の圧勝に終わった今回の衆議院選挙。しかし当初は、小池百合子代表率いる希望の党が政権をかっさらうかといったまでの前評判もあった。しかし、前原誠司代表(当時)率いる民進党との合併騒動で、あっという間に夢はついえた……。そうしたドラマを間近でウォッチし続けた新聞記者らに話を聞く!
『安倍晋三 沈黙の仮面: その血脈と生い立ちの秘密』(小学館)
A:全国紙ベテラン記者
B:全国紙中堅記者
C:全国紙中堅記者
A 突然の解散風から希望の党の誕生と急失速、そして再び与党の大勝と、政界は目まぐるしい動きに翻弄された3カ月だったね。
B 解散については、内閣の支持率が回復傾向にあった8月末頃から急に噂が流れだし、産経新聞が突然、次期衆院選の予想される顔ぶれを掲載したりと小さな動きはあったけど、マスコミ各社でも半信半疑という声が大半だった。それが、9月16日に創価学会が急きょ選挙対策の会議を開くという情報が出回り、各紙が翌日の朝刊で「解散へ」と打った。
C ただ、毎日と読売だけはこの解散方針について「特オチ」した。毎日については印刷所で聖教新聞を刷っている学会とのコネがあるけど、感度が悪すぎて打ち切れなかったとか。一方、不可解だったのは読売。政権とのパイプは一番ですが、安倍晋三首相の「読売新聞を熟読して」発言や前川喜平・前文科事務次官の出会い系バー通い報道などをめぐって政権との癒着ぶりをたたかれたために、距離感を取るためあえて打つのを遠慮したとささやかれています。
A 有権者の意向を読むのは本当に難しい。小池百合子都知事が希望の党を立ち上げ、民進党の前原誠司・前代表が合流方針を決めた頃は、各政党が水面下で行う世論調査でも与党過半数割れの可能性という結果が出て、自民党の関係者からも「自滅解散」という声まであった。
B 小池氏のいる都庁や都議会は通常、社会部の担当。しかも、小池氏が自民党内での権力闘争に敗れてからは、政治部の記者も距離を置くようになっていた。でも、希望の党ができて政権を取る可能性が出始めた途端、各社の政治部が慌てて都庁クラブに「小池番」を配置するなど、手のひら返しがすごかった。