――ゼロ年代とジェノサイズの後に残ったのは、不愉快な荒野だった?生きながら葬られた〈元〉批評家が、墓の下から現代文化と批評界隈を覗き込む〈時代観察記〉
作者のアシスタント時代の自伝マンガで、手描き作画の細部まで活写する異様な面白さ。今回の騒動で影響が出なければ良いが。
ハマの番長・三浦大輔の引退試合を観ていた。シーズン最多が12勝の典型的な弱小球団のエースだったが、00年代以降では工藤、山本昌、黒田に次ぐ通算3000イニング以上を投げ続けた大投手の最終登板は、メッタ打ちの見事な大敗であった。しかし、あれほど見事な引退セレモニーもなかった。なぜか『熱笑!!花沢高校』最終回の「お…男の……花道やっ」が脳裏に浮かんだのだが、番長の場合は努力と人徳とタイミングがたまたま合致したからよかった。というか、もしも今年もダントツの最下位だったら、もしも親会社がTBSのままだったら、もしもタイガースへFA移籍していたら……こんな幸福な引退にはならなかったろう。
まったく、男の引き際は難しいが、梶谷隆幸も愛読している「マガジンSPECIAL」の人気連載『Dreams』の引き際は大惨事になっていた。掲載誌休刊に伴う打ち切りで、20年かけて積み重ねてきた物語が一気に崩壊する超展開だったのだが、長期連載の扱いが雑なのは講談社の伝統だ。『ああっ女神さまっ』や『無限の住人』のようにカウントダウンでの完結はまれで、月マガの大看板『なんと孫六』ですら微妙な結末だった。もっとも、講談社に限らず、人事異動のついでに打ち切られるのは日常茶飯事で、逆に『ゴルゴ13』『浮浪雲』『風の大地』のように申し送りで死ぬまで続くであろう小学館ビッグコミック系の長期連載もある。むしろ『こち亀』のような大団円で終われるほうが珍しい。