――土着のラッパーが地元についてラップする“ご当地アンセム”。ITの発達や、地元に居座り続けるマイルドヤンキー論、または国を上げての地域創生と地方が見直されている今、このヒップホップカルチャーのいち要素でもあるレペゼン文化に改めて注目してみよう。
DJでトラックメイカーのYAKKOが05年に発売した『My Hood Iz...』。東西問わず各地方のラッパーによる地元アンセムが収録されている。
「日本語でラップはできるのか?」などと論争が起こっていたのも今や昔のこと。素人がプロのラッパーの下で修業するドキュメンタリー『THE PUNCH LINE ~素人が1週間でラッパーになる話~』(NHK/Eテレ)や、社会人同士が「サラリーマン川柳」的なフリースタイルラップでバトルするイベント「社会人ラップ選手権」などが登場するに至っては、日本社会におけるラップの浸透・定着を如実に物語っているといえよう。
そんな中、近年、地元愛や、名所・名産品をラップに乗せたご当地ソングならぬ「ご当地ラップ」が話題になっている。マツコデラックスと関ジャニ∞村上信五によるテレビ番組『月曜から夜ふかし』(日本テレビ)で、俗に言うマイルドヤンキー的な若者たちがチームを作り、ラップをする姿が特集されたことも記憶に新しい。
「ヤレる女を連れて来い」地方ラップが受けた屈辱
そもそもヒップホップという音楽の一側面として、“レペゼン”という文化がある。「~を代表する」という意味で、例えば「レペゼン大阪」と言えば、「大阪から来た」というような意味になる。要するに、その土地で生まれ育ったことへの矜持を表明しているのである。
この点を考えれば、ヒップホップが地方に広がっていき、そこで地元愛、ひいては「町おこし」的なものと結びつき、ご当地ラップがコアなシーン以外の部分でも散見されるに至った流れも、自然なものに思えてくる。