――著作権侵害罪によって裁判沙汰となっていた「スクエニ vs SNKプレイモア」の間に和解が成立。誰もが泥沼化を想定していた訴訟劇の裏には、いったい何があったのか?
(絵/小笠原徹)
2013年度「このマンガがすごい! オトコ編」で堂々の2位を飾り、幅広い層から人気を博していた押切蓮介氏によるマンガ『ハイスコアガール』(スクウェア・エニックス)。しかし、作中で描かれた「ザ・キング・オブ・ファイターズ」や「サムライスピリッツ」などのキャラの掲載許可を取っていないことが発覚し、著作権を保有するSNKプレイモアによって刑事告訴されたことは、多くのメディアで取り上げられた。
ネットでは「スクエニが悪い」「SNKは器が小さい」などの賛否両論が繰り広げられ、スクエニはおろか、押切氏までもが家宅捜索・書類送検の対象となった。しかし、去る8月下旬に事態は一変し、和解成立が報道された。泥沼化といわれた異例の刑事裁判、和解の裏では何が起きていたのか? マンガ業界に詳しく、著名マンガ家の顧問も務める中島博之弁護士に話を聞いた。
「15年8月上旬、SNKプレイモアの80%以上の株式をLedo Millennium Co., Ltd.(中国の大手ゲーム会社の出資によって設立された合弁企業といわれている。以下、Ledo社)が取得したことが、和解成立の大きな要因になったと思います。つまり、SNKの大株主となったLedo社のゲームビジネス業界におけるスクエニとの協力姿勢を反映した形です。それに伴いスクエニは『両社及びLedoは、新たな協業機会の創出を通じて、これからもファンの皆様のご期待に沿うコンテンツの開発・提供に邁進してまいります』というニュースリリースを発表。またSNKは、近年注力していたパチスロ事業から完全撤退し、しばらく滞っていたゲーム事業の体制強化をすると、11月に発表しました。これは協調姿勢を裏付ける大きな動きです」