『雑誌よ、甦れ』(晶文社)
ソチ五輪が開幕し、多くのスポーツ紙がプチバブルを味わうべく、現地に臨時の支局を作り、記者やカメラマンを派遣するなど五輪取材に力を注いでいる。だが、速報をはじめとしたほとんどのニュースはインターネット媒体に先んじられて、売上的には苦戦を強いられているという。
特に一次情報を扱う朝刊スポーツ紙の惨敗ぶりは目に余るものがあり、もはや存在価値すら危ぶまれている状況だ。
こと芸能に関しても、大手ポータルサイトのニュースランキングなどを見てみると、非朝刊スポーツ新聞系である夕刊紙やニュースサイトの配信記事が上位の大半を占めるケースが増えている
情報過多社会において、たいして中身のない会見ネタやブログネタをそのまま記事にしたところで、ほとんど読者のヒキがないことに、まだ気がつかないのだろうか? 例え気づいていたとしても、大手芸能プロダクションや大手レコード会社、大手映画会社などとの長年の"お付き合い"もあり、パブ記事に専念せざるを得ないのかもしれないが……。いずれにせよ大胆な構造改革でもしない限り、明るい未来は見えそうにない。
とまあ、朝刊スポーツ紙の危機的状況ばかりあげつらってきたが、厳しいのは雑誌業界も同様。インターネットや携帯電話、スマートフォンの普及で、ある意味ではスポーツ紙よりも悲惨な状況に虐げられているわけだが、ここに来て新たな"逆風"が吹き荒れそうだ。
「なんでも大手コンビニチェーンが今春にも、雑誌の棚を半分に減らす動きを見せているんです。売り場のスペースが減れば、そのぶん置かれる部数も減るわけで、当然売上も下がることになる。どういう雑誌が"リストラ"の対象になるのかはまだハッキリとはしていないのですが、うちもうかうかしていられませんよ」とは某大手出版社の営業担当。
街から本屋が次々と消えていく中、雑誌にとってコンビニは大のお得意様である。そんなお得意様から見限られたとあっては、廃刊の憂き目に遭う雑誌も続出しそうだが、いったいなぜこのタイミングでそんな話が浮上しているのか?
「最近、コンビニでよく挽きたてコーヒーを売っているじゃないですか? あれがものスゴく評判が良くて、だいぶ売上に貢献しているんです。コンビニは以前からおでんとか、からあげとかにも力を入れていましたけど、コーヒーも同様、どれもかなり利益率が高い商品なんですよ。そういった外食商品に力を入れていく流れの一環として、店内にイスやテーブルを設置しようという動きがあって。結果、かさばるうえに利益率の低い雑誌のスペースを減らしましょうと……」(同出版社の営業担当)
確かに"利益率"と言われてしまえば、商店にとっては雑誌よりもコーヒーやおでん、からあげの方が優良商品なのだろうが、なんとも世知辛い話である。