サイゾーpremium  > 特集  > エンタメ  > 視聴率の変遷で追う【フジ「月9」】凋落の歴史
第1特集
ダサい、しょぼい、時代遅れの月9ドラマ

キムタク様の神通力もそろそろ限界か…視聴率の変遷でフジ「月9」の栄枯盛衰

+お気に入りに追加

――80年代後半より、数々の伝説的ヒット作を生み出してきたフジテレビ「月9」ドラマ。しかし近年は視聴率が振るわず、作品によっては「ネットでツッコミを入れながら観る」ような楽しみ方すら確立されてしまう有り様だ。なぜ天下の「月9」は、こうなってしまったのか──?

80年代後半『教師びんびん物語 第2シリーズ』 26.0%

1310_getsuku_01.jpg

■月9第一弾作品はまずまずの数字
『君の瞳をタイホする!』
放映/88年1~3月 平均視聴率/17.4% 最高視聴率/21.4% プロデュース/大多亮 脚本/橋本以蔵ほか 出演/陣内孝則、三上博史ほか

記念すべき「月9」枠1作目は、渋谷の警察署に勤める刑事たち(陣内、三上、柳葉敏郎)を中心にしながら、いわゆる刑事モノ的な堅さは一切ないラブコメだった。シングルマザー役の浅野温子や不良娘役の工藤静香などを迎えて、代官山などの洒落たレストランやショップでデートやコンパを重ねる、トレンディドラマの先駆けとなるシーンも多い。「アフター5は、恋がヤマ」というキャッチコピーがバブリー。

1310_getsuku_02.jpg

■東宝制作、トシちゃんの代表作
『教師びんびん物語 第2シリーズ』
放映/89年4~6月 平均視聴率/26.0% 最高視聴率/31.0% 企画/亀山千広ほか 脚本/矢島正雄 出演/田原俊彦、野村宏伸ほか

「月9」スタート年に当たる88年に放映されたシリーズ1作目に続き、翌年放映された本作が、90年代に入るまでの「月9」作品中では最高平均視聴率を獲得。当時人気絶頂期にあった田原俊彦を起用し、理想主義者の熱血教師とその同僚たちの奮闘を描いた。1話当たりの最高視聴率で30%を超えたのも当時の「月9」では初であり、この枠の順風満帆な滑り出しを予兆させた。

90年代前半『ひとつ屋根の下』 28.2%

1310_getsuku_03.jpg

■「セックスしよ!」の新しさ
『東京ラブストーリー』
放映/91年1~3月 平均視聴率/22.9% 最高視聴率/32.3% プロデュース/大多亮 脚本/坂元裕二 出演/織田裕二、鈴木保奈美ほか

数ある「月9」の恋愛ドラマの中でも、『ロンバケ』と双璧をなす名作。スポーツ用品メーカーに務めるカンチ(織田)とリカ(鈴木)、カンチの同級生である三上(江口洋介)とさとみ(有森也実)の恋愛模様が描かれる。ストレートに愛情を示し、「カーンチ、セックスしよ!」と言い放つリカは、それまでのドラマでは描かれなかった女性像だった。主題歌だった小田和正の「ラブ・ストーリーは突然に」も大ヒット。

1310_getsuku_04.jpg

■フジ歴代トップの最高視聴率
『ひとつ屋根の下』
放映/93年4~6月 平均視聴率/28.2% 最高視聴率/37.8% プロデュース/大多亮 脚本/野島伸司 出演/江口洋介、福山雅治ほか

マラソン選手だった達也(江口)が、数年来生き別れだった弟妹5人と暮らし、家族の絆を深めてゆく物語。平均視聴率の記録こそ『HERO』(後述)に抜かれたものの、最高視聴率37.8%(第11話)はいまだフジの歴代ドラマの中でトップに立っている。トレンディドラマ中心の「月9」ラインナップの中で、“涙あり笑いあり”のいわゆるホームドラマに取り組み、普段は「月9」を見ない層を取り込んだのが勝因だろう。

90年代後半『ラブジェネレーション』 30.8%

1310_getsuku_05.jpg

■社会現象化した、恋愛ドラマの金字塔
『ロングバケーション』
放映/96年4~6月 平均視聴率/29.6% 最高視聴率/36.7% 演出/永山耕三 脚本/北川悦吏子 出演/木村拓哉、山口智子ほか

結婚式当日に婚約者に逃げられた落ち目のモデル・南(山口)が、彼のルームメイトだった冴えないピアニストの瀬名(木村)と同居をする羽目になるところから始まる恋愛ドラマ。それぞれに「何をやってもうまくいかない」焦りを抱えた男女が徐々に近づいていくさまが、視聴者の心をつかんだ。キムタクの連続ドラマ初主演作であり、男女ともに人気を爆発させる要因となった。

1310_getsuku_06.jpg

■実は『ロンバケ』超えの平均視聴率
『ラブジェネレーション』
放映/97年10~12月 平均視聴率/30.8% 最高視聴率/32.5% 演出/永山耕三ほか 脚本/浅野妙子ほか 出演/木村拓哉、松たか子ほか

『ロンバケ』では実らなかったカップルだった、木村・松のコンビが主演。広告代理店に勤める2人が、ケンカやすれ違いを繰り返しながらくっついていく。「主人公達の気持ちだけで作っていく」ストーリーであり、それは「『東京ラブストーリー』をやろうとした」らしい(永山Dインタビューより/『月9ドラマ青春グラフィティ』<同文書院>)。原点回帰でこの数字はさすがだが、前年の『ロンバケ』の影で、ややかすみ気味か。

ログインして続きを読む
続きを読みたい方は...

Recommended by logly
サイゾープレミアム

2024年11月号

サヨクおじさんが物申す 腐敗大国ニッポンの最新論点

NEWS SOURCE

サイゾーパブリシティ