――いわゆる“半グレ”組織である関東連合による六本木フラワー事件や同グループの石元太一逮捕に加え、山口組・渡辺芳則五代目組長の死去、改正暴力団対策法の施行など、2012年は裏社会にまつわるニュースがメディアを騒がせた。そんな中、13年以降には規制強化の影響により暴力団間の激しい抗争が起こりうるという。果たして裏社会の未来とは――?
(写真/磯部昭子 A/M)
■暴力団員等の検挙件数
※暴力団構成員及び準構成員その他の周辺者
合計22,354件
(前年同期比-2,876)
[主な犯罪の内訳]
殺人:38件(-14)
恐喝:499件(-84)
窃盗:9,925件(-858)
詐欺:1,439件(-1,115)
売春防止法:56件(-179)
覚せい剤取締法:4,447件(-78)
(警察庁組織犯罪対策部『平成24年上半期の暴力団情勢』より)
【POINT1】暴力団による犯罪は減少傾向にあるも…
表にある通り、暴力団組員や準構成員による犯罪の検挙数は近年減少している。背景には、暴対法や暴排条例の施行によって犯罪がしにくくなったという事情がある。左に挙げた罪種以外を見ても、大幅に増加している項目は見当たらないが、暴力団に属さない“半グレ”などによって、犯罪の実態がつかみにくくなっているという現状も押さえておくべきだろう。
■暴力団構成員、準構成員の数
合計70,300人
(前年比-8,300)
[主要3団体の構成員数]
山口組:31,000人(-3,900)
住吉会:11,700人(-900)
稲川会:8,100人(-1,000)
(警察庁組織犯罪対策部『2011年の暴力団情勢』より)
【POINT2】構成員は激減!鞍替えの可能性大
改正暴対法や暴排条例の全国施行があり、暴力団関係者数は、暴対法が施行された92年以降最も少ない人数となっている。山口組、住吉会、稲川会といった主要団体も当然大きく人数を減らした。しかし、実態のつかめない“半グレ”や右翼標榜団体に人員が流れている可能性も高く、構成員の減少が裏社会勢力の弱体化とイコールとは言い難い。
■組織犯罪対策費の2013年度概算要求(警察庁)
合計42億2700万円
(前年度比-4億3500万)
[主な対策費の内訳]
総合的な暴力団対策の推進:3億4600万円(+2億900万)
薬物事犯捜査の高度化の推進:4億9000万円(+6700万)
来日外国人犯罪対策の推進:14億4600万円(-7600万)
(警察庁『平成25年度予算概算要求の概要』より)
【POINT3】取り締まり強化で捜査費増加の懸念
警察の組織犯罪対策費自体は減少しているが、暴力団対策の推進費は増加。さらに、今後、捜査費用が増加するという指摘もある。「暴対法以前は、暴力団と警察が協力し、裏社会の事件を解決してきたという側面があった。暴対法以降は、警察と暴力団が関係を持つことが難しく、裏社会がかかわる事件の捜査が困難になっている。もちろん、取り締まりの強化は必要だが、そうした実情までを考えて法整備をしなければ、今後は捜査費用としてのコストがかさむばかりでしょう」(小野氏)