──2005年に結成されたAKB48。彼女たちのデビューからはや7年、この間にSNSを中心としたITツールは広く普及した。ブログ、モバイルメール、ツイッター、Google+。それらは彼女たちの重要な“営業ツール”となっているのだ。しかし、彼女たちにとって“自由に発信できる”それらのサービスは、ときに、思わぬ失態の原因ともなっている。スキャンダルの発信元ともなりつつあるITツールは、果たして彼女たちの味方か、敵か?
(絵/エンライトメント)
景気低迷に歯止めがかからない今の日本において、“手堅い景気刺激策”ともなっているのがアイドル産業だ。中でもAKB48をはじめ、SKE48やNMB48など“48グループ”がもたらす経済効果は、一説には年間300億円ともいわれるほど。その勢いはIT業界にも波及し、2011年12月より48グループの18歳以上(現在は13歳以上)の全メンバーにアカウントを持たせることで日本の市場開拓を謀ったSNSサービス「Google+」は、大量のユーザー獲得に成功。日本国内のネット視聴率を調査するニールセン社の発表によると、今年6月にはAKB48選抜総選挙を生中継するなどの連動企画も実施したことで、前月比136・2%となる485万人もの訪問者数を記録。サービス開始当初の11年7月には91万人だったことを考えると、驚異的な伸び率で普及しており、その一翼を担ったのが48グループであることに疑いはない。
しかし、48グループにとっては、このGoogle+がスキャンダルの火種をまく“諸刃の剣”と化しているのも事実。今年8月には、当時HKT48に在籍していた古森結衣が「芸能界の世界がこんなに恐ろしいのも知りました。たくさん学んだな。人って簡単に信じちゃだめなんだね。本当にありがとうございました。」と、卒業を匂わせるメッセージをなんの前触れもなく投稿し、すぐさま削除されるという事件が勃発。さらに翌日には、運営側から彼女含む5人のメンバーの卒業が事後報告されるという異常事態が起こり、その理由についても「一身上の都合により、活動を辞退したいとの申し出がありました」としかアナウンスされなかったため、ファンの間では「何かスキャンダルを起こし、一斉に解雇されたのでは?」という臆測が広まった。後日、古森の父が「週刊文春」(文藝春秋/9月6日発売号)の誌面にて「娘以外の4人が男性ファンの自宅に泊まり、娘はその巻き添えを食らった。不当解雇だ」と告発したこともあり、“一身上の都合”とやらが穏やかなものでないことは確かなようだ。
「実際のところ泊まったのは誰か……など、詳細な部分についてはわかりませんが、とにかく辞めたメンバーたちがGoogle+のチャット機能を使い、ファンとつながってしまったことは間違いないようです。たぶん、そのやり取りも自分のスマホやPCではなく、Google+の更新のためにドコモから支給されたスマホで行っていたようで。これはHKT48に限った話ではなく、使い放題にできるスマホが支給されたのをいいことに、学校や地元の友達とチャットでやり取りしていたメンバーは結構いましたからね。そういうメンバーは、総じてデビューしてから日が浅く、まだ子どもに近い年齢の子たちなので、リテラシーが低いのも仕方ありませんが……。だからこそ、運営側の大人たちがしっかり指導しなきゃいけないのに、ただスマホを支給するだけで使い方もろくに教えていなかったんですよ」(元内部関係者・A氏)
さらに、別の元関係者・B氏は、NMB48についてもこう指摘する。
「NMB48なんて、運営側が『チャットで私用のやり取りは禁止』とお達しを出したのは、HKT48の騒動があってからだったんですよ(笑)。まぁ、あそこは吉本興業の系列だけあって、お笑い事務所ならではの“事後処理型体制”なので、もともとリスクヘッジができないんですけど……」