──08年に大阪府知事となってから、一貫してコストカットを進めてきた橋下市長。その経営手腕には、当時から賛否両論が巻き起こってきた。そんな彼の手腕を、大阪市民はどう見ているのか──?
『徹底検証「橋下主義(ハシモトイズム)」』(梧桐書院)。
橋下市長のマニフェストには、その通りにコトが進めば間違いなく大阪の街が活性化しそうな魅力的な文言が、硬軟織り交ぜて綴られている。
だが、彼が府知事時代から一貫して強硬に推し進めてきた徹底したコストカットによる行政サービスの合理化は、ひっ迫した財政状況を改善するという誰の目にもわかりやすい成果を挙げてみせる一方、弱者の切り捨てをいっそう加速させる、ちっとも「優しくない」状況までをも生み出しつつあるのが実情だ。
むろん、本文でジャーナリストの大谷昭宏氏が指摘していたような、権益を我がもの顔に享受して平然としていられるようなエセ弱者は糾弾されてしかるべき存在だ。しかし、世の中には行政の手助けなくしては生活もままならない、本当の意味での弱者がいることもまた事実。橋下市長のバックボーンにはどうも、それらを十把一絡げにして、「働かざる者食うべからず」と言わんばかりに突き放そうとするフシがあるように思えてならない。