──マンガ市場が落ち込みを見せつつも、その規模から、出版社にとっても書店にとっても、マンガは最も力を入れている商品だといえる。そんなマンガ流通の現場にいる書店員たちが、今本当に売れているマンガからメディアミックスの影響まで──その実情を語った!
座談会参加者
A…中規模チェーンの郊外店勤務
B…萌え系などに強い、都内のマンガ専門店勤務
C…学生街に店舗を構える、都内中規模チェーン店勤務
D…都心の大規模チェーン店勤務
A 今年は大物タイトルが相変わらず堅調という感じだったけど、ヒットしたという意味では2010年末発売の『花のズボラ飯』(作:久住昌之 画:水沢悦子/秋田書店)ですかね。【特集『マンガ編集座談会』参照】
書店で膨大な数が並ぶマンガの中で、目立つために台座やPOPなどがところ狭しと並ぶ。これがあるとないとでは売り上げに大きく差が出てくるという。
B 僕が働いている書店は、30~40代のいわゆるアキバ系の男性客が9割以上ですが、『花のズボラ飯』はかなり売れました。相当大量に入荷したんですが、それでも品切れになるほど。
C 私のところは学生街なので、大学生が中心の客層。『花のズボラ飯』は最初3冊くらいしか入らなくて即完売。すぐに追加したんですが、それでも30冊程度しか入らず、すぐ売り切れ……の繰り返しでした。
A とにかく品薄でしたよね。しかも発売が年末だったから、重版がかかっても実際に入荷するのが年明けとか、かなりタイムラグがあった。100冊前後入れたのでなんとか年明けまで在庫がもちましたが、ほかの店舗はまったく入らない状況だったみたい。そもそも配本がほとんどなかったから、売れてることに気づいてないところも多かった。