──2011年2月、スマートフォン市場で圧倒的な強さを誇っていたiPhoneの牙城を崩し、グーグルのAndroidを使用するケータイが世界シェア1位を奪取した。また、MM総研によると、10年度における日本国内のシェアでも、Androidが57%、iPhoneが38%と逆転を達成しているという。
石川温氏の著書『グーグルvsアップル ケータイ世界大戦』。
周知の通り、Android躍進の原動力は、同システムが無償で提供されるオープンソースであること。ライセンス料や開発費のコストを安く上げることができるため、各国のメーカーはこぞって採用した。しかし、そこには少なからず弊害もあったようだ。ケータイジャーナリストの石川温氏は、次のように語る。
「これまでの日本のケータイは、キャリアの意向を検討して、メーカーごとにさまざまな差別化を図り、『おサイフケータイ』や『ワンセグ』などの独特なサービスを生み出してきました。しかし、あらゆるメーカーが同一のOSを選択したことで、差別化が難しくなったことはもちろん、多種多様に増え続けるグーグルの新サービスを加味した機能を備えるなど、開発にグーグル側の意向を反映させる必要が生まれています。実際、NECやシャープなどのメーカーは、グーグル本社のあるサンフランシスコに拠点を構えて、同社との距離を密接にしようと動いていますが、サムスンやHTCなどの海外メーカーに後れを取っているのが現状。最近でも、某メーカーの開発担当から『ウチだけが知らない間にOSがアップデートされ、サービスの不具合が出た』という話も聞きました」