夏原武氏の著書『続 現代ヤクザに学ぶ最強交渉・処世術』
最近は、暴力団関連のトラブルが起こると、どこにでも山口組が仲裁に入って非暴力により話を収めてしまうんです。そうした平和路線の体制を築いて山口組の影響力を強め、六代目不在の間、大きな問題を生じさせなかったのはやはり弘道会会長である高山清司若頭の手腕と山口組最大勢力である弘道会支配によるところが大きい。だから警察としては、弘道会さえ潰せば山口組は潰れる、と考えています。ところが高山若頭を逮捕しても、山口組はあまり動揺していない。それで、入江禎総本部長も逮捕した、という流れでしょう。
どちらの逮捕も、「これで本当に公判が維持できるのか?」というくらいの無理筋なのですが、最近の流れでは、山口組に対してはどんな微罪でもとにかく逮捕、送検、という体制ができています。相手がヤクザなら、世論もあまり文句を言いませんからね。要は立件して塀の中に入れるためではなく、逮捕拘束して社会不在にする、ということを目的にしているようです。当局としては、組織の要である高山若頭や入江総本部長を社会不在にすることで、山口組が内部分裂することを期待していたんでしょう。