徳川家広氏。(写真/山本宏樹)
世界で突出する累積債務残高(国・地方を合わせて1042兆円・2010年9月末現在)を前に、格付け機関は日本国債の格下げを発表した。やがて日本は財政危機に陥るのではないか──そんな状況を踏まえ、政治家、エコノミスト、経済学者の間でも、さまざま言説が飛び交っている。
その中でも本誌が注目したいのが、「7~8年後に、日本の国債は価値を失い、銀行は破綻して預金はパー、失業率は50%近くになる」などと国家崩壊ともいえる予測をする徳川家広氏だ。同氏はジョージ・ソロスのベストセラー『ソロスは警告する』(講談社)の翻訳家としても知られるが、実は、徳川家康から連綿と連なる徳川宗家19代目。最近は、社会・経済評論まで活動の幅を広げている異能の作家である。そんな徳川氏が、経済学の初歩の初歩から説き起こし、世界と日本の経済史を概観した上で、今後約10年間の日本経済のシナリオをまとめた『自分を守る経済学』(ちくま新書)が話題になっている。氏によれば、遅くとも2020年には、日本は敗戦以来最悪の「廃墟経済」になるというのだ。世が世なら、「公方様」だった男が語る日本の未来とは──。