阪神・淡路大震災(95年)、三宅島の噴火(00年)、新潟県中越地震(04年)など、過去に起きた災害時には、人間だけではなく多くの動物たちも被災した。だが、実際にいざ自分が被災し当事者になったら、自分の飼っているペットはどうしたらよいのか、具体的な対応策を知っている人は少ないのではないだろうか。ただでさえパニックになりがちな災害時において、飼い主である人間は、正しい行動が取れるのだろうか──。
そこで、前述の災害時などで動物の救済活動に携わってきたひとり、獣医師の山口千津子氏(社団法人日本動物福祉協会)に「災害時のペット」の現状と防災対策について話を伺った。
災害対策の絶対ルール
動物愛護団体、日本獣医師会によって組織された緊急災害時動物救援本部では、災害時におけるペットの正しい避難対策について呼びかけている。
「私たちは、阪神・淡路大震災以降、『緊急災害時動物救援本部』(日本動物愛護協会、日本動物福祉協会、日本愛玩動物協会、日本動物保護管理協会、日本獣医師会によって組織)の被災地における動物救護本部設置の手伝いをはじめとする動物の救援活動をしてきました。これは、行政、獣医師会、動物愛護団体が一緒になって行われているもので、この取り組みの積み重ねにより、最近になってようやく、災害時のペット避難対策を具体的に検討する自治体が増えてきました。ペットの同行避難に対する理解も広がってきており、私たちは、まず、災害時には飼い主によるペットの同行避難を呼びかけています」