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咬傷事故頻発に多くの飼い主が苦悶......

"最強"ゆえの哀しみ背負った業界の"闘士"土佐闘犬と男たちのブルース

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──現在の多種多様な犬種は度重なる交配によって作り出されてきた。中でも、「戦闘」という、特殊な目的のために作られたのが、土佐闘犬である。世間一般では賭博や闇社会との繋がりといったダーティな印象がいまだに強く、徐々に衰退しつつあると言われているが、はたしてその現状は?

「イケ! 耳だ」「よし、足を狙え!」

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(写真/関根虎洸)

 土俵を縁取る鉄柵の上から、セコンド役の飼い主が、身を乗り出して愛犬へ攻撃の指示を送る。土俵上の闘犬は、尻尾を振りながら、激しく"静かに"戦っている。闘犬の決まり手には、ホエ(吠え)、ナキ(鳴き声)、セリ(苦痛を表す唸り声)、イカク(威嚇)などがあり、闘技中に犬が声を出すと負けになるので、審判は注意深く犬の声を聞き分けて判定を下す。

 今年4月、高知県高知市桂浜で行われた全国大会には、日本各地から輸送用トラックに乗って500頭を超える闘犬が集まった。色鮮やかなノボリが上がり、屋台の並んだ会場には、強面の飼い主たちのほかに、近所の住人や家族連れも多く目に付いた。闘技の合間には、化粧回しをした横綱犬の土俵入りや、子どもたちに向けた餅投げ(菓子投げ)、和太鼓グループの演奏なども行われ、祝祭的空間の会場は、真剣勝負の緊張感と地方社会独特の牧歌的な雰囲気に包まれていた。

 取り組みが終わると、大会伝統の優勝旗やトロフィーのほかに、賞品の軽自動車や電化製品などが、参加者に手渡された。かつて闘犬といえば、"非合法な賭博"というアンダーグラウンドなイメージが強かったが、現在では賭博行為が行われるようなことはない。


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