──2010年、飽和状態であるかのように見られたケータイ業界に、スマートフォンという劇薬が本格投入された。通信キャリアにおいては、iPhoneで勢いづくソフトバンクにもかげりが見られ、auが虎視眈々と起死回生を狙う。一方メーカーにおいては、海外メーカーの攻勢に日本勢は戦々恐々とするばかりで……。そんなケータイ業界の2011年を占う!!
(イラスト/都築潤)
勝ち企業
KDDI
日本初の民間通信会社を母体とする第2位のキャリア。2010年は大きく落ち込んだが、年末には社長交代とともにアグレッシブ姿勢を取り戻した。3番手の追い落としと、1番手の猛追を図る。サムスン
韓国最大の財閥に由来する総合家電メーカー。世界中でブランドを確立したサムスンが、スマートフォンを突破口についに日本市場で大きく躍進。価格だけではなくデザインや性能も評価される。
負け企業
ソフトバンク
孫正義社長率いるインターネット企業の代名詞。iPhoneを突破口にシェアを伸ばしたが、ボーダフォン買収のための借金が尾を引く。電波品質改善をうたうも達成の見込みが薄く、ユーザー離れを招く。パナソニック
日本最大の総合家電メーカー。統廃合が続く日本の端末メーカーの中で唯一、単独路線を維持。だが古典的日本企業の代表格が、動きの速い海外メーカーとの勝負に現状のままで勝ち残れるかは疑問。
2010年のケータイ業界は「スマートフォン」の年だった。海外勢に続いて、ようやく日本メーカー製のスマートフォンが相次いで投入され、キャリアもスマートフォンを強くプッシュしている。携帯電話専門ニュースサイト「ケータイWatch」の湯野康隆編集長は、その背景を次のように語る。