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宇野常寛の批評のブルーオーシャン 第6回

クール・ジャパノロジーの可能性

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『日本的想像力の未来クール・ジャパノロジーの可能性』(NHK出版)

 先日、NHK出版から発売された『日本的想像力の未来クール・ジャパノロジーの可能性』(東浩紀編)は、今年3月に東工大で催されたシンポジウムを再録、再編集したものだ。クール・ジャパンという、ある意味恥ずかしいにもほどがある言葉を用いた題名から、敬遠する人も多いだろう。あるいは、マンガやアニメといったオタク系文化をめぐる議論は、自分には関係ないのだ、と。
 
 しかし一読すればわかるように、クール・ジャパンという言葉はここでは明確にアイロニーとして機能しており、むしろ政府が推進する空疎な(と言わざるを得ない)クール・ジャパンというブランディングのイメージとはまったく異なった、そして内実のある「日本的想像力」についての議論が展開されている。そう、ここで問われているのは、日本のコンテンツ政策や、あるいはオタク系文化の市民権(に偽装した旧世代オタクのアイデンティティ問題)などという、はっきり言ってどうでもいいこととはまったく別のレベルの、「日本的想像力とは何か」という問題だ。オタク系文化が、あるいは独特のウェブ受容(ツイッターの爆発的普及、mixi、2ch、ケータイ小説サイト、ニコニコ動画などの定着)や「カワイイ」系の女子カルチャーが生み出されていく「日本」という磁場(それはもしかしたら「東アジア」という磁場かもしれない)について考えること──それが、このシンポジウムの主題である。

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