"クリック募金"なる言葉を目にしたことのある読者も多いだろう。そうしたチャリティ・サービスを提供するIT企業とて霞を食っているはずはないが、どうビジネスとして成立させているのか? また、ITチャリティの落とし穴とは──。
大手クリック募金ポータルサイトのdff.jp(http://www.dff.jp/)。
CSR(企業の社会的責任)が常に求められる昨今、IT業界が提供する各種チャリティ・サービスが存在する。とりわけ「クリック募金」は、現在多くの企業やユーザーに支持されているが、ご存じでない読者のために、まずはそのシステムを紹介しよう。
クリック募金とは、クリックするだけでユーザーが無料で募金ができるという、一見語義矛盾を抱えたようなシステム。ユーザーが募金ボタンをクリックすると、飢餓撲滅や途上国での教育・医療支援、環境保全などさまざまな問題の解決に努めるNPO/NGOに寄付できるのだが、スポンサー企業がその寄付金を負担するため、ユーザーには一切お金がかからない。
そんなクリック募金の始まりは諸説あるが、1999年に開設された米国のThe Hunger Siteが嚆矢であり、日本初のクリック募金ポータルサイトは2000年開設のdff.jp(運営会社はDFF)とされる。今や「クリック募金」と検索すればおびただしい件数がヒットするが、中でも大手の同サイトは、09年までに総額2億4000万円の募金を生み出した。ここまで浸透した理由について、『こんな募金箱に寄付してはいけない』(青春出版社)の著者・筑波君枝氏はこう述べる。