岐阜県東白川村にある、つちのこに関する唯一の資料館「つちのこ館」に展示された幻の生物(の模型)。
──超自然・神秘的現象を意味するオカルト。そのたぐいの本をトンデモと唾棄するのは勝手だが、"クラシック"と呼び得る本も確かに存在する。そんなオカルト本の"名著"たちを、オカルトサイト〈X51・ORG〉を主宰し、『奇界遺産』を今年刊行した佐藤健寿が紹介する。
日本でオカルトという言葉はUFO、UMA、幽霊、超能力……などあらゆる超常現象を含みますが、海外においてオカルティズムはより具体的に心霊主義(死により肉体が消滅しても霊は存在し続けると考える信仰。スピリチュアリズム)などを指し、超常現象は例えばパラノーマルという別の言葉があります。つまり、日本でオカルトという言葉は特殊な使い方をされているのですが、今回はあえて日本で広く認識されるオカルト、その名著たちを取り上げましょう。
まずは『超常現象の謎に挑む』【1】。監修者のコリン・ウィルソンは、猟奇殺人からUFO・UMAまでごちゃ混ぜにして独自の未知学を体系化した小説家・評論家で、今日の日本でいわれる意味でのオカルトという言葉の成立に影響を与えました。『オカルト』(新潮社/73年)や『ミステリーズ』(工作舎/87年)など数多くの著書があり、これも扱っている範囲は幅広いですが、図版が多い大判の本のため、見た目は教科書のよう。この手の大百科的な本は、とかく浅く広くなりがちですが、ほかでは見られない情報が掲載され、資料として優れています。