──デフレが進む中、唯一価格上昇が進み、不況に逆行している業界がある。それが、"ラーメン"だ。しかしそんな中で、長いこと一部で ある"仮説"が囁かれて来た。いわく、「ラーメンが犯罪と隣合わせにある」とか──。はたしてラーメンは本当に危険なのか? それとも、"人気モノ"に集まるうがった視線? ここでは、ちょっとカゲキな"ラーメン犯罪誘発説"を唱える人々に耳を傾けてみた。
茨城県警のHP。同県警は89年にジャンクフードと犯罪の発生率についてレポートを発表している。
昨今、ラーメン店主や業界をリードする評論家陣が起こした事件が、あらためて注目されている。メディアが報じた過去の事件には、暴力衝動・倒錯した性衝動が歪んだ形で発露しているものが多く、何か特別な作用が働いているのでは? というのだ。食品ジャーナリスト・郡司和夫氏は、栄養学の観点から犯罪とラーメンの密接な関係についてこう語る。
「ラーメン店主が性犯罪、暴力犯罪を起こしやすい、という仮説を実証した研究例や報告はありません。ラーメンに限らず、ある食形態、食材が特定の犯罪を導き出すとは断言できないからです。しかし、粗悪なジャンクフードと犯罪発生の関係については公式な研究発表があります。89年に茨城県警が、91年に群馬県警が相次いで行ったレポートです。補導少年と一般少年の食事情を比較した調査でしたが、とりわけ茨城県警が筑波大に依頼して行った調査には驚かされました。野菜類、米、魚を食べず、インスタント、ファストフードなどを常食している少年ほど犯罪を起こす傾向が明らかで、中でも、朝からカップ麺を食べている少年ほど重罪で捕まる傾向が見られたんです」