──歌って踊れるのが大前提のジャニーズタレント。かつてダブルミリオンを生んだSMAPと、08年3作目のシングル「truth/風の向こうへ」が9月現在で08年の年間ランキング暫定1位を獲得している嵐。アイドル歌手としてはどちらの実力が上なのか? 歌謡曲評論家の宝泉薫氏に聞いてみた。
中居の歌はさすがに"味"がありすぎて、メッセージソング
には少々不向き!?
嵐がSMAPを超えるのは厳しいでしょうね。SMAPは唯一無二の存在。ジャニーズ文化の成熟と時代の流れが、奇跡的にシンクロして生まれたものですから、これを超えることは、ジャニーズのグループに限らず非常に難しい。「超える」というのは単純に売り上げ枚数の問題ではありません。嵐がデビューしてから10年。SMAPの結成10年目前後の頃とは、時代背景や景気、積極的にCDを買う世代の事情や構成人数も違います。また、SMAPは紅白に出て幅広い年齢層に浸透させていくことができたけれど、嵐はジャニーズの戦略上、紅白には出られない。嵐は圧倒的に不利な状況の中で戦っています。
SMAPは歌謡曲がJポップに変わる端境期に登場し、「Jポップとしてのアイドルポップスとは何か」という命題をずっと抱えてきた。SMAPが「Hey Hey おおきに毎度あり」など首をひねるようなものを出しながら試行錯誤し、あらゆる手をやり尽くした路線上に嵐がある。嵐は二世タレントのようなものなんです。だから、何をやってもパイオニアを超えることはできないし、二番煎じに見えちゃうんですよ。