tofubeatsのmyspeaceより
日本最大規模のテクノイベント「WIRE08」に高校3年生の時に出演。カルチャー誌「STUDIO VOICE」(INFASパブリケーションズ、今年9月号で休刊)で連載を持ち、わずか18歳ながら「天才トラックメイカー」と呼ばれるなど、業界内では新進気鋭のミュージシャンとして高い評価を受けているtofubeats。アイドル、アニメソングの二次創作曲をネットで無料配布し知名度を上げたものの、彼のルーツはヒップホップ、ポップス、ハウスなどであり、本稿のテーマである「同人音楽」とは若干ズレた立ち位置で活動している。しかし、インターネットを重要な音楽の発信場所としていること、二次創作をしていることなど、同人音楽ミュージシャンとの共通項も多い。そんな彼に、音楽業界の現状と未来について話を聞いた。
──インターネットは今、二次創作をするミュージシャンにとって、どういう場所ですか?
tofubeats(以下、T) 素人の創作欲求を満たす場所という以外に、プロのミュージシャンにステップアップするための"訓練所"としても機能しているように思います。レコード会社側も、才能のある新人を探しやすくなったと思います。才能あるアマチュアの新人を、ネットで簡単に探すことができるようになったわけですから。
──二次創作に関しては、著作権の問題も大きいです。
T 僕の作った曲を聴いた権利者サイドからオファーが来て、公式にリミックス曲を出すことに繋がったことがあります。Aira MItsuki(テクノポップアーティスト)さんの曲がその例。ほかにもそうしたアプローチがレコード会社側から何件か届いていますし、法律に関しても、ここまでくれば何か変化があったりしないのかなと期待してしまいます。10年先も今と同じ体系のままだとは思えないので。
──今後の音楽業界は、どう変化していくと思われますか?
T もっとメジャーとインディーズ的なものが接近していくのでは。人気のバロメータがオリコンランキングだけじゃなく、MP3のダウンロード数、YouTubeやニコニコ動画での再生回数などで数字で見えるわけで、より両者が同じ軸の上で評価されるようになってると思います。そして、プロとアマチュアの楽曲のクオリティ自体にも、差がなくなっていくのでは。打ち込み曲に関しては、最終的なスタジオ作業や流通宣伝における差はあるとはいえ、アマチュアでもメジャーの作品と渡り合えるようなクオリティのものはたくさんあると思います。ネットで見かけた誰かの言葉ですが、『音楽で何かを表現したい人にとっては天国、音楽で金儲けしたい人にとっては地獄』、そういう時代になっていくのではないでしょうか。
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