五輪競技、サッカー、野球......これらのスポーツ中継は、もはや躁病的な"お祭り状態"と化している。あまりにうるさすぎて「ミュートで映像だけ」という視聴者も多い。そこで、実況アナとして評価が高い倉敷保雄氏に、スポーツをめぐるテレビ事情を伺った。
──競技と関係のないタレントが起用されたり、選手に安っぽいキャッチフレーズをつけたりと、スポーツ中継・スポーツ番組のバラエティ化が加速していますね。
倉敷 まず、問題点として挙げられるのは、テレビ局が自社制作をする形ではなくなっている点ですね。大きなお金が発生すると、それを制作会社に投げ、その制作会社がまた下に落とす。最終的には予算がギリギリになり、たいしたものを作れなくなる。上にお伺いを立てれば、スポンサーの縛りが厳しく、自由な番組作りができなくなる。そうなると、てっとり早く低予算で作るために、「装飾品のようなタレント」や「飾り言葉」で取り繕うことになりますよね。