微妙なソニーに絶対絶命パイオニア...電機メーカーに未来はあるか?
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──不況下で消費者の購買意欲がとことん冷え込む中、絶賛赤字垂れ流し中の大手電機メーカー。高度経済成長を支えた世界に冠たる「メイド・イン・ジャパン」の未来はどうなるのか? ソニー、パイオニア、日立、三菱、パナソニックの5社に絞って、勝手に大胆予測!!
100年に1度」といわれる未曾有の世界同時不況によって、ソニーや日立製作所など、日本を代表する電機メーカーも、軒並み巨額の赤字を垂れ流している。日立が7873億円、パナソニックが3789億円、ソニーが989億円......と、思わず目がくらんでしまうような数字が並んでおり、決算会見や株主総会において各社のトップは、「予想以上の不況によって消費者の需要が消失したことで、当初の売り上げ見込みを大きく下回り、大幅な損失を計上した。大変申し訳ない」(日立の川村隆社長)などと、似たような謝罪の言葉を重ねているのだ。
しかし、ちょっと待っていただきたい。このすさまじいまでの大赤字、本当に「100年に1度の大不況」とやらのせいなのだろうか? もしそれだけが原因なのであれば、すべての会社が赤字になっていてもよさそうなもの。だが実際には、決してそんなことはない。任天堂は前期2790億円の黒字と過去最高益を叩き出したほか、iPhoneが好調な米アップルや格安家電で知られる中国のハイアールなども、順調に利益を拡大させている。
では、これらの好調企業と絶不調の電機メーカーとの命運を分けたものは、いったいなんなのだろうか? これについてある電機メーカー幹部は、「過去の栄光にとらわれて、消費者に売ろうとする努力を怠っていることが、電機メーカーの首を絞めている」と厳しい表情を見せる。
「日立などの大手メーカーは、高度経済成長期に高い技術力によって欧米メーカーを追い抜いたという、強烈な自負心がある。そのため、『より高度な技術を』と研究開発に邁進しているが、肝心の『客に買ってもらう』という大切な視点が頭から抜け落ちており、その結果、やたらハイテクで消費者が使いこなすのに苦労するような、そもそも不必要な機能をつけては悦に入っている。一方アップルは、デザイン性や操作性を追求して消費者の購買意欲をくすぐっているし、中国メーカーは、とにかく安くて使いやすい商品を作ることに力を注いでいる。徹底的に消費者のニーズにこだわった企業とそうでない企業とでは、おのずと勝敗は決まる」(同)
要は、消費者に対する視線の有無が、この不況のおかげで白日の下にさらされただけ、というわけだ。
しかし、電機業界にとっての本当の悪夢は、その先にある。この不況をきっかけにして、市場による電機メーカーの選別が加速化しているのである。
56ページ以降のページ上段では、日本を代表する5メーカーの"内情"をつまびらかにしてみた。辛うじて黒字の三菱電機を除く4社の赤字額は、合算でなんと約1兆4000億円(!)。この大不況が終わりを迎えたときに生き残っている電機メーカーはどこなのか? それらの"内情"を基に、
本誌が独断と偏見で容赦なくジャッジする!!