人気アイドルグループ・AKB48(以下、AKB)。"48"とはいってもメンバーが48人なわけではなく、姉妹グループSKE48のメンバーを加えれば、現在では総勢100人強の超大所帯だ。その数の多さに比例してか、グループを卒業・脱退するメンバーも非常に多いのが、このグループの特徴。その数は、2005年の結成時から数え、今や40人以上に上る。通常アイドルグループにおいて、"卒業"といえば、"涙のセレモニー"を経て送り出されるのが世の常。現にハロー!プロジェクト(以下、ハロプロ)では、"卒業商法"と揶揄されるほど、記念公演などで卒業が派手に演出される。ところがAKBでは、ひっそりと辞めて行くメンバーが大半なのだ。
「7月末にもメンバーの西川七海(元チーム研究生)が、男性2人と一緒に写ったプリクラ画像が流出し、解雇となりましたが、ファンの間でさえ、『ていうか誰?』という状態でした。そもそもAKBでは、きちんと有名になって卒業したメンバーは今までにひとりもいないのではないでしょうか。卒業生の中で最も知名度が高かったのは大島麻衣(元チームA・今年4月に卒業)ですが、それでも卒業後は、数本のテレビ番組のレギュラーがある程度。要するにAKBの"卒業"は、実質的には売れないメンバーの"切り捨て"なんです」(AKBファン)
実際、40人強の卒業メンバーのうち、30人ほどはすでに芸能界を引退しているか、ほとんど活動はしていない状態。活動している者でも、週刊誌上で"秋葉原路上Tバック"を披露した宇佐美友紀(元チームA・06年3月に卒業)、キワドイ着エロ風イメージDVDをリリースした成田梨紗(元チームA・昨年11月に卒業)など、B級グラドルの仕事がメインだ。
「そもそもプロデューサーの秋元康に、"アイドルを育てる"という意識が希薄なんです。おニャン子の昔より彼は、話題性重視のコンセプトだけでアイドルグループを立ち上げ、あとは広告的にどう見せていくか、という"売り方の発想"しかしない。育成する力がないというより、はなからそのつもりもないんでしょうね」(芸能ライター)
グループに残れた側からAKBを眺めても、同様のことがいえる。AKBというグループ名の認知度に比べ、モーニング娘。全盛期の"辻加護"のような、個人名まで浸透したメンバーがいないのだ。CDの売り上げなどでも、今やAKBが完全にハロプロを追い抜いているにもかかわらず、である。
「アップフロントという1つの芸能プロが運営するハロプロと違ってAKBは、尾木プロ、太田プロ、ホリプロなどの大手を含む複数の芸能プロに所属するタレントの集合体です。尾木プロ所属メンバーのみによるグループ内ユニット『渡り廊下走り隊』などに顕著なように、このことが結果的に、自社のメンバーのみを目立たせるための事務所間での駆け引き、潰し合いを招いている。これでは、メンバーが協力してキャラを立て合うという意識を持つのは無理」(前出・芸能ライター)
新しいメンバーを常に供給し、"使えない"メンバーを切り捨て、内部でも激しい競争があるために一枚岩となれないAKB。しかし、なればこそ、今の隆盛があるのだろう。そしてその陰には、消えていったメンバーの屍が累々、というわけである。
(岡島紳士)