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中村俊輔や本田圭祐だけではもうお客はつかない!?

W杯出場決定も盛り上がりはイマイチ メディアも見放したサッカー代表の"今後"

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MEMOW杯
2010年6月から約1カ月間に渡り、南アフリカで開催される予定の第19回FIFAサッカーワールドカップのこと。南アフリカでの殺人事件の発生率は、日本の35倍という話まであり、治安の悪さと国内情勢の悪化から、ワールドカップ開催への不安視がいまだに根強くある。

──今月初旬にアジア予選を突破し、いよいよ来年の南アフリカW杯に向け舵を切った日本代表。岡田監督は「ベスト4が目標」と大見得を切ったが、実現可能なのか? そもそもW杯は盛り上がるのか? 日本代表を精力的に取材するスポーツ紙記者(A)、サッカー専門誌記者(B)に若手ライター(C)を加え、緊急座談会を行った。

A 結果としては余裕の予選通過だったね。難しい試合もあったけれど、「よくやった」と言えるんじゃない?

B グループリーグの対戦国に恵まれただけ、という見方も(笑)。オーストラリアは別格として、ウズベキスタン、バーレーン、カタールの3カ国は、もうひとつのグループ(韓国、イラン、サウジアラビア、北朝鮮、UAE)に入っていたら間違いなく最下位候補。2強3弱ともいえる最終予選ですから、突破して当然ですよ。

C そもそも、4・5枠(5位がオセアニア1位とプレーオフ)というアジアの出場枠そのものが、世界的にも疑問が持たれていますね。いずれにしても、98年フランスW杯時の予選みたいな「出場が目標」という時期は過ぎました。予選が厳しい戦いになっても、当時ほど盛り上がれないというのが、今の日本サッカーを取り巻く現状です。

B もはや親善試合やアジア予選で、世間の注目を集めるのは無理がある。まぁ、岡田監督の地味さにも問題があるけど。オシム前監督が07年の11月に脳梗塞で倒れ、岡田監督が引き継いで、新鮮味に欠けた監督交代となった。誰が監督になるのかネタにしようと思ったら、すんなり岡田監督で決まり、メディアはガックリした。

C ただ、オシムの独特な言い回しは、「語録」として一種の社会現象になって関連本も売れたものの、テレビの視聴率に直結するような人気ではなかったですね。根本的に、日本代表、ひいてはサッカー人気自体が落ちてしまったんですよ。

A 代表選手もパッとしないしね。数年前は代表周辺で書くネタに困らなかったけど、今は「スターがいない」と嘆く記者だらけ。当時は、選手と監督の対立構造を煽って書けば、それでスポーツ紙の部数が稼げたものだった。でも今はもう、そんな記事を書いても相手にされない。ウチじゃサッカーネタは大きく扱わない、という暗黙の了解すらでき上がりつつある(笑)。世間にも浸透している選手って、中村俊輔ぐらいでしょ。中村はJリーグに戻ってくるみたいだけど、スコットランドで通用しなくなったというよりも、家族の問題が大きいらしいね。

C 日韓共催W杯の02年前後に未曾有のサッカーバブルを経験してしまったから、そこで甘い汁を吸った協会関係者やメディアは困っています。先月27日に行われたキリンカップのチリ戦は4-0の快勝にもかかわらず視聴率は12%で、裏のバラエティ番組に負けてしまった。

B まぁ来年になれば、それなりに盛り上がるでしょうね。でも、旅行代理店はあんまり商売にならないんじゃない?(笑) 「応援ツアー」を組んでも、行く先が南アフリカじゃね。決勝が行われるヨハネスブルグは犯罪率が高いし、外国人が物盗りの目的で殺されるなど、物騒な話が絶えないし。
現地の準備もなかなか進んでいないようだし、スタジアム建設などの工事は突貫で間に合わせたとしても、大会期間中の警備がおろそかになりそうで怖い。

A 06年のドイツ以上に「テレビで観るW杯」になるのは間違いないね。それだけに、日本が負けてしまったら熱が冷めるのも早い。

C W杯をきっかけとしたサッカー人気の回復のためには、結局、日本代表がどれだけの成績を残してくれるかが大事ですが、岡田監督が掲げる「ベスト4」という目標はどうでしょう?

A あれは一種の暗示。岡田さんだって、冷静に考えて「ベスト4」の実力があるなんて思ってない。でも、高い目標を持ってやらないと選手もついてこないし、奇跡も起こらないからね。

B そのわりには、やっているサッカーはこじんまりしていて、「ベスト4」という期待はまったく抱けない。若手で、18歳の山田直輝(浦和)も出てきたけど、本人も認めるように、「スピードなし、フィジカルなし、身長なし」の典型的な日本人の選手。大きな期待を背負わせるのは、かわいそうだよね。

C それでも、視野がいい選手だから、僕は期待していますよ。ただし、来年じゃなくて、その次の2014年のW杯でね。一部のサッカー通の間で「代表招集するべき」なんて意見も出ている17歳の宇佐美貴史(G大阪)や18歳の原口元気(浦和)も、現時点では代表うんぬんを語る段階じゃないよね。

A 結局、今の日本はみんなで守ってみんなで攻める、という手段に活路を求めるしかW杯で勝つ見込みはないんだよ。その点では、岡田監督の方向性が間違っているとは思わない。ただ残念ながら、欧州や南米の強豪と真剣勝負で確かめる機会がない。

B オシム監督時代にアジアカップ(4年に一度開かれる、アジア王者を決める大会)で敗退したせいで、今月行われているコンフェデレーションズカップ(W杯の前年に各大陸の王者とW杯開催国によって行われる大会)には出場できないからね。

C あの大会も真剣勝負の場ではないと言う人がいるけど、本大会で優勝候補になる国に胸を借りられるメリットは大きい。開催国の気候、会場、練習場など、スタッフを含めた準備もできる。出場権を逃したのが痛かったのは間違いない。暗中模索の中で岡田監督がどうチームを強化して本戦に臨めるか。僕は、組み合わせに恵まれれば、ベスト16までは行けると予想してます。

B いやいや3戦全敗でしょう。予選リーグで敗退だと思う。

A ベスト4はさすがにないと思うけど、予選リーグを突破するチャンスはあると信じたい。

C なんだかんだ言っても、上位に進出してくれた方が選手もファンもメディアもハッピーでしょう。最後は心を一つにして応援しましょう。
(上野 裕)

日本代表の注目選手は?

カズや中田英寿が活躍していた頃と比べ、一般のファンにとっては、どんな選手がいるのかさえ不明な今の日本代表。そんな中でも、注目選手といえば、本田圭佑。今季、オランダ2部リーグのVVVフェンロを1部昇格に導き、本田自身もMVPに選出された。移籍金が約13億円まで跳ね上がり、欧州移籍市場でも注目のプレーヤー。ひょっとすると、南アフリカW杯が「本田の大会」に......ってそれさすがに言い過ぎか。

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