「朝日新聞が変だ」。最近、マスコミ界から、こんな声が聞こえるようになってきた。
「スクープで鳴らした毎日新聞が"鬼畜サイト"を放置してきたせいで読者の反発を買い、広告も減って経営難に陥っているのは周知の事実。そんな中、大手紙で唯一の"良識派"といわれた朝日新聞が、その良識を問われるような報道に手を染めるようになってきたんだ」(別の大手紙幹部)
たとえば、民主党の小沢一郎代表の大久保隆規秘書の逮捕を3月3日付夕刊で前打ちしてみせたり、大久保秘書が否認しているにもかかわらず「容疑認める」と報じたりするなど、確かに検察の意に沿った報道が少なくない。
「『"国策捜査機関"に成り下がった検察と一体化して野党叩きを始めた』と民主党幹部らはカンカンだね。ほかにも、小沢の側近・山岡賢次国会対策委員長のマルチ問題はじめ、格安の第三種郵便制度を悪用した事件に民主党の牧義夫議員がかかわっていると報道したり。これまでの政府・自民党批判のスタンスをがらりと変え、民主党叩きに終始しているんだ」(他紙のデスク)
そんな朝日に、とんでもない問題が持ち上がっている。在阪の検察担当記者がこう打ち明ける。
「朝日が検察とつるむのも無理はないよ。だって、一歩間違えたら、自分たちが捜査対象になったんだから。なんの話かって?例の第三種郵便制度の悪用事件のことだよ」
関西では大きく報じられた事件だが、簡単に振り返っておこう。障害者団体が郵便物を送るときに使える料金の割引制度を悪用し、障害者向けの定期刊行物の中にチラシを割り込ませ、普通の封書なら120円かかるところを、最安8円という割引料金で大量のダイレクトメール(DM)を郵送し、約6億5000万円を不正に免れたというこの事件。大阪市の広告代理店「新生企業」と石川県の印刷・通販大手「ウイルコ」が発案、博報堂の子会社が仲介して、ベスト電器のチラシを配ったとして、4月16日に関係者10人が大阪地検特捜部に逮捕されている。
「この問題は、朝日の大阪社会部が昨年始めたキャンペーンがきっかけで事件化したんだが、実は、朝日が30%の株式を所有するグループ傘下の広告代理店『朝日広告社』でも、この割引制度を使った20万通近いDMの印刷を手がけていたことがわかったんだ。DMを頼んだ業者は『朝日のキャンペーン報道を受けてウイルコが断ってきたので、朝日広告社に切り替えた』と話している。キャンペーンが朝日グループの営業に使われたといわれても仕方のない事態なんだ」(前出検察記者)
今のところ、検察が朝日グループから事情聴取したという話は聞こえてこない。しかし、ライバル業者を追及するだけ追及し、キャンペーンが終わった後に朝日広告社の顛末を短い記事で報じただけで、朝日は自社のキャンペーンと同社の受注関係をなんら検証していない。民主党の指摘ではないが、これでは「検察とつるんでいるのではないか」と疑われても仕方がないのではないか。そして、そんな疑いを倍増させる疑惑がもう一つある。国税担当記者が証言する。
「朝日新聞が東京国税局の調べを受け、過去7年間に、架空経費の計上など、約3億9700万円の所得隠しを含む約5億1800万円の申告漏れを指摘されたことが今年2月に発覚した。中でも問題だったのが、京都総局のカラ出張で、総局長自ら不正に手を染めていたんだ。金額が金額だけに、刑事告発されたら検察が調べることになる。しかし、この京都総局長は、検察にも顔が利く人物。事件化しないとなると、検察となんらかの手打ちがあったのではないか、と囁かれているんだ」
最近の朝日といえば、阪神支局襲撃事件をめぐる「週刊新潮」のキャンペーン報道を「虚報」と追及したばかり。その姿勢で、自らの足元を徹底検証してもらいたいものだ。
(編集部)