「霊とかって信じてないんだよね……」と、山下監督(撮影/有高唯之)
『天然コケッコー』をはじめ、青春映画の若き名手として知られる映画監督の山下敦弘が「SRI(超常現象噂調査隊)」の隊長に就任。『X-FILE』のモルダーとスカリーを彷彿させる山下隊長と助手の野嵜好美のコンビが、心霊現象を追うホラードキュメンタリー『めちゃ怖』全3巻を作り上げた!
なぜ山下監督がホラーを?なぜ画面の中で大活躍?謎だらけの企画について山下監督本人を直撃した!
「もともとガンダーラ映画祭というドキュメンタリー短編を集めた映画祭に自主制作の作品を出品していたんですけど、そろそろ仕事にしようかと(笑)。ただ今回は、SRI隊長という役回りがあったので大変でした」
え?役回り?ドキュメンタリーなのでは?
「えーと、ホラードキュメンタリー......テイスト?(笑)」
ドキュメンタリーということにして話を進めよう。それにしても山下監督がJホラーに殴り込みとは邦画界にとってもビッグニュースだ。いったいどんな意識でホラーに挑戦したのか?
「恐怖を与えるホラーというより、よくわからないものやいかがわしいものに興味があって。心霊って謎だし、どこかいかがわしい。川口浩探検隊が地底人を追いかけたりするのも好きなんですよ」
つまり、『めちゃ怖』とは山下版・川口浩探検隊!?
「どちらかというと『探偵!ナイトスクープ』かも(笑)」
半年間ホラー映画の勉強をしたが、まったく身につかなかったと語る山下監督。「みんなちゃんと考えてホラー映画を作ってるんだな、と思いました(笑)」。それでも完成した作品は山下印の映画になっていたのが興味深い。
「自分が面白いと思うのは、ディテール。『心霊の真実が明らかに!』みたいなところはあまり......(笑)。これはぜひ中学生に見てもらって、近所の小学生に広めてほしいですね。僕が近所の中学生に教えられて『食人族』を見たように(笑)」
(大山くまお)
やました・のぶひろ
1976年、愛知県生まれ。大阪芸術大学映像学科の卒業制作として完成させた初長編作『どんてん生活』でデビュー。03年『リアリズムの宿』、05年『リンダリンダリンダ』で一躍脚光を浴び、07年『天然コケッコー』で第32回報知映画賞・最優秀監督賞を史上最年少で受賞した。