ドキュメンタリー映画の題材は、社会問題や歴史、犯罪、有名人の伝記などが多いが、男女の愛についてのドキュメンタリーは珍しい。劇映画は愛を好んで描く。ロマンスとして、夢として、娯楽として。しかし、愛についてのノンフィクションは、今回紹介する2本の映画のように、時に愛というものの恐ろしさを暴いてしまう。
映画『バーチ通り51番地(51 BirchStreet)』のタイトルは、監督のダグ・ブロックが生まれ育ったニューヨーク州ロングアイランドの家の住所から来ている。ブロックは「映画監督」ではなく、雇われて結婚式をビデオに撮るのが仕事だった。『バーチ通り51番地』は、ブロックの生家で両親が金婚式を祝うのを記録したホームビデオで始まる。その時点では、彼は映画を作るつもりはなかった。ビデオ屋であるブロックは、メモ代わりにカメラを回す癖があった。それがこのドキュメンタリーになったのだ。