映画『君のためなら千回でも』は、サンフランシスコの街並みを対岸に臨む、バークレーの湾岸公園から始まる。筆者の家の近所だ。そこは凧揚げの名所で、週末には日本や中国、タイやインドネシアなど世界各国からの移民たちがそれぞれの伝統的な凧を揚げている。アフガニスタンの凧もある。ここベイエリアには、リトル・カブールと呼ばれるアフガン・タウンがある。アフガンからは、1979年のソ連軍侵攻から現在まで十数万人がアメリカに逃れ、ベイエリアだけで6万人が暮らしている。『君のためなら〜』の原作者カーレド・ホッセイニも、その1人だ。
「幼い頃、カブールでペルシャ語吹き替えのスティーブ・マックイーンの映画を観ていた時は、自分がアメリカに住むなんて夢にも思わなかった。ましてや自分の小説が、ハリウッドで映画化されるなんて」