社会

行政の制度は機能しなかったのか?

杉並里子虐待事件は"必然"だった!? 見捨てられた里親制度のひずみ

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「里子が白目を剥いて追いかけてくる」「ゾンビみたい」

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『里親養育と里親ソーシャルワーク』(福
村出版)。

 自身のブログでこう記し、2010年8月24日、自宅で3歳になる里子を虐待し死亡させた疑いで逮捕された鈴池静容疑者。「"美魔女声優"夫は激ヤツレでも『フラダンス』『論文執筆』」(文藝春秋「週刊文春」9月1日号)、「『里子殺し』美人声優は早大大学院『セクハラ事件』の"主演"だった」(小学館「週刊ポスト」9月9日号)などと、週刊誌をはじめとするメディアは、早稲田大学大学院博士課程修了、元声優、劇団主宰、会社経営といった鈴池容疑者の"華麗な"人物像をセンセーショナルに報じてきた。だが一方で、元児童相談所所長が「今回の事件は、起こるべくして起こった」と話すように、複数の里親制度の構造的な問題を指摘する声も少なくない。

 というのも、里親と里子のニーズや適性を見極めて組み合わせる、いわゆるマッチングが、適切に行なわれていたのかを、疑問視する向きが多いのだ。マッチングは通常、児童相談所内の会議で、ひとりの里子候補に対し、複数の里親候補が挙げられ、最も子どものニーズ(どれくらいの委託期間が望ましいか?  兄弟を望んでいるか? など)と合う里親を選ぶ仕組みだ。今回は容疑者が、公共経営学の博士課程を修了し、認定心理士や中学教諭の資格を持っていることに注目が集まっているが、むしろこのキャリアが、マッチングをミスリードした可能性があると、元所長は指摘する。

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落札率は"ほぼ100%"──

築地移転事業で談合疑惑 石原が執着する五輪誘致に関係!?

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 環境基準の4万倍に達するベンゼンに猛毒のヒ素、水銀、六価クロム、カドミウム......。高濃度の有害物質に汚染された東京都江東区豊洲の「東京ガス工場跡地」に、"世界のTSUKIJI"こと築地市場を移転しようという計画をめぐり、長年議論が紛糾してきたことをご存じの読者も多いだろう。

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『検証・築地移転―汚染地でいいのか』
(花伝社)

 石原慎太郎都知事が執拗に入れ込むこの市場移転事業。都民の間から「食べ物を扱う市場をなぜ汚染された土地に建てないといけないのか」と反発の声が巻き起こり、石原知事と対立する都議会側の反対多数でいったん凍結にまで持ち込まれた、いわくつきの事業だった。

 日本環境学会も対策の不備を指摘しているというのに、強引に推し進めようという都側の頑なな動きに、多くの都民は首をひねったものだが、その理由の全貌がこのほど明らかになってきた。ある都議関係者が訴える。

「都側は移転用地の土壌改良事業の入札にこのほど踏み切ったのですが、入札参加者は大手ゼネコンだけで組んだJV(共同企業体)1社しかいないという前代未聞の入札になったんです。これではまるで随意契約。しかも、上限の予定価格に対する落札額の比率『落札率』はほぼ100%で、超高値で落とされました。つまり、移転事業は、大手ゼネコンを潤わせるための利権として用意されたわけです」

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政治部記者が語る新総理のスネの傷

どじょう宰相・野田佳彦が抱える時限爆弾──民主党崩壊のカウントダウンか?

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野田佳彦首相の『民主の敵―政権交
代に大義あり
(新潮新書)。

 ついに退陣した菅政権の後を受け、いよいよ始動した野田新政権。「どじょう」演説で庶民派をアピールし、「ノーサイド」宣言で挙党一致を訴えたが、果たして新生民主党の誕生となるのか、それとも終わりの始まりなのか──。大手紙政治部デスク(A)、大手紙政治部記者(B)、民放政治部記者(C)が、禍根を残した代表選の内幕と共に、野田新首相の「どじょう」イメージとはかけ離れた素顔を明かしてくれた。

A 8月29日の民主党代表選は、海江田万里を当選確実とした新聞・テレビの予想を裏切り、一時は泡沫候補だった野田佳彦が、まさかの逆転勝利を収めたね。

B 海江田を推す小沢一郎グループが握っていた票は、過半数の「200」。1度目の投票で当選を狙うと小沢たちが豪語したのを、こちらも真に受けてしまった。前夜の野田陣営の決起集会に集まったのはわずか50人。劣勢は歴然だったはずだが、翌29日朝、野田陣営から内々に「10票差でうちが勝つよ」と伝えられ、絶句したよ。朝刊で「海江田勝利」を打った直後だからね。一夜のうちに「2位・3位連合」が出来上がったんだ。

C 第一の勝因は、海江田という「タマ」が悪かったと散々言われましたね。

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ここでも揺れた検察の地位──

気鋭の法学者・河合幹雄が語る「東電OL事件 DNA再鑑定 その裏にキケンな思惑」

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 1997年に東京電力の女性社員が殺害された、いわゆる「東電OL殺人事件」。その再審請求審で、11年7月、被害者の体内から採取した精液を鑑定した結果、一貫して無罪を主張しながら03年に無期懲役が確定したネパール国籍のゴビンダ・プラサド・マイナリ受刑者のものとは異なるDNA型が検出され、さらに殺害現場に残された同受刑者のものではない体毛のDNA型と一致したことが明らかにされた。

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事件現場となったアパートのすぐ近くにあ
るラブホテル街。

 当初から冤罪の可能性を指摘されていたこの事件、新事実の判明によって確定判決が覆される可能性が出てきたわけだが、なぜ有罪判決の確定から約8年も経過した今、DNA鑑定が突如として行われたのだろうか? その背景にある警察や検察の思惑などについて、犯罪情勢や警察・検察の内部事情に詳しい、桐蔭横浜大学法学部教授の河合幹雄氏に話を聞いた。

──まず、先生はこの事件とその後の裁判の経過をどう見ていましたか?

河合幹雄(以下、) 被告人が犯人であるという確たる証拠がない場合、たとえどれだけ怪しくても、「疑わしきは被告人の利益に」という推定無罪の原則によって、被告人は無罪となります。この事件はその典型ですから、一審の無罪判決は妥当だと思いました。

 ところが、二審で無期懲役の判決が下されてしまった。私を含め、司法に携わる者の多くは、決定的な証拠がないにもかかわらず、検察がかなりの無理筋を通して一審判決を覆そうとし、裁判官もそれに付き合ってしまったという見解を持ったと思います。

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自白の強要に任意を超えた出頭

痴漢冤罪暴行事件が露にした警察の懲りない違法捜査の実態

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4月26日に弁護士会館で行われた国賠提訴会見の様
子(上)。早稲田大学構内で支援者とともに目撃者探
しのチラシを配布する母の尚美さん(下)。

 ひとりの青年が、夜の新宿駅で見知らぬ大学生から突然殴りかかられ、痴漢の濡れ衣をかぶせられた上に警察へ連行され、翌朝まで拘留。青年はその後、自らの命を絶つ──。

 大学職員だった原田信助さんが非業の死を遂げた、いわゆる「新宿駅痴漢冤罪暴行事件」は、これまでもニコニコ生放送などネットメディアを中心にたびたび報じられ、本誌のウェブ版「日刊サイゾー」でも4回の連載を通して5000件を超えるツイートが投稿されるなど、大きな反響を呼んだ。

 新宿駅での暴行騒ぎから新宿警察での取り調べの一部始終を、信助さんがたまたま持ち合わせていたボイスレコーダーで記録していたことから、死の背景に新宿署の違法な取り調べと、現場であるJR新宿駅のきわめて理不尽な対応が存在したことが明らかになったこの事件。捜査の方法に強い疑念を持った信助さんの母・尚美さんは、今年4月に警視庁を相手に国家賠償訴訟を提訴(支援者により「新宿署違法捜査憤死事件」と名付けられている)。 その第二回公判が、今月8月30日に東京地方裁判所で開かれようとしている。事件から早くも1年半が経過した今、ここで事件の概要を振り返りながら、問題点を再確認していきたい。

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検察は本当に変わるのか?

独自捜査縮小も"狙うは東電" 検察改革案に隠された本音

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 大阪地検特捜部の「押収フロッピー改ざん事件」で、致命的なダメージを受けた検察。その立て直しを託された笠間治雄検事総長が、いよいよ本格的な改革に乗り出した。

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笠間治雄検事総長のインタビューが掲載
されている『文藝春秋』8月号。

「この7月、『取り調べの全面可視化』や『特捜部の独自捜査体制の縮小』といった思い切った取り組みを発表しました。その際、笠間さん本人が記者会見を開いています。総長自ら国民に向かってメッセージを送らないと、もはや立て直しが利かないというくらい、検察当局は危機感に駆られているからです」(大手紙司法デスク)

 それもそうだろう。与党・民主党の肝いりで設置した法相の私的諮問機関「検察の在り方検討会議」は、これまで手厳しい検察批判を繰り返してきた。中でも、会議のメンバーであるジャーナリストで作家の江川紹子氏は「特捜部解体論」を主張して譲ろうとしなかった。

「この諮問機関の存在に、検察当局はずっと頭を抱えていましたね。その象徴が、前任の大林宏総長。改革案をまとめる前に、着任半年にして辞職しています。諮問機関の重圧に耐えきれず、しかも検察改革に反発する一線の検事たちの首に鈴を付けられなくて、半ばやけ気味に自爆テロをしたとまでいわれました」(同)

 それゆえに、昨年12月に着任した笠間総長には、外部の改革圧力と内部の抵抗勢力を納得させる両面工作が求められていた。改革案を見てみると、その腐心の跡が見て取れる。

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退陣前の悪あがき?

菅首相が"最強左翼"と共闘 脱原発解散で"革命"を目指す!?

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 政権維持に必死な菅直人首相。これまで、最後の切り札として「脱原発解散」をちらつかせてきたが、7月下旬になり、「私はダブル選挙でいいと思っている」と、総選挙は2年後の参院選と同時に実施するべきとの姿勢を示した。だが、この言葉をそのまま受け止める永田町関係者は少なく、「野党からは"今、脱原発解散してくれれば、政権奪還できる"との解散を歓迎する声が漏れ、対する与党内からは"解散させられる前に、菅を引きずり降ろせ"という声が出てきたことに対する、菅首相なりの駆け引きでは?」(与党関係者)との見方もある。そんな菅首相が、もしも「脱原発解散」を選んだなら、最強の選挙ブレーンとなる人物がいる。

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『脱原発』(青志社)。

 革新系のミニ政党「市民の党」代表の酒井剛氏(通称名・斉藤まさし)。 日航機「よど号」ハイジャック犯の長男が所属するこの政党に、菅首相が6000万円に上る献金をしていたことが産経新聞や国会で先ごろ取り上げられ、一躍、時の人になった人物だ。

「彼は"無党派選挙の神様"と呼ばれる伝説の人。小沢一郎さん顔負けの選挙戦術を駆使し、民主党内の革新系候補を数多く当選させ、先の政権交代を実現させた立役者の1人なんだ。実は、徹底した脱原発論者でもあり、膨大な資料を菅さんに突きつけ、原発ストップを迫っていたんだ。彼が動きだせば、解散してもあながち菅さんに勝算がないわけではない。産経のキャンペーンは、脱原発解散の芽をつぶす狙いがあったんだろう」(大手紙政治部デスク)

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権力とwebの密接すぎる関係

苫米地英人×辛酸なめ子──ツイッターの「魔女狩り」から逃れ、国家的洗脳から脱却せよ!

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ロックフェラーによる世界統一政府の樹立、同一族の後継
問題から、キリスト教、仏教、儒教といった話まで、幅広い
トピックについて語り合った苫米地氏と辛酸氏。

──2011年8月号まで本誌にて「サバイバル女道」を連載していた辛酸なめ子氏。今回は、ソーシャルネットワーク時代に必要となる知恵について綴った新著『現代版 魔女の鉄槌』(フォレスト出版)が話題の脳機能学者・苫米地英人氏と邂逅。苫米地氏は、中世ヨーロッパにおいて、権力とキリスト教が結託して魔女狩りを生んだように、現代では、権力とネットが結びつくことで、新たな魔女狩りが行われていると訴える。そんな時代を生き抜くすべとは?

「わたし、ロックフェラー家やロスチャイルド家のような闇の巨大権力とかに興味があるのですが、苫米地さんはロックフェラー家当主のデイビッド・ロックフェラーとお知り合いだったのですか?」

「うん。三菱地所がロックフェラーセンターを買収した際の財務担当だったからね。それ以降、デイビットとは4半期に1回のペースで一緒にお茶とかしてたよ」

 そんな話から始まった、苫米地英人氏と辛酸なめ子氏の対談は、インターネットで生中継され、1万人以上の視聴者を集めた。ここでは、その中から、苫米地氏の著書『現代版 魔女の鉄槌』に書かれた、宗教と権力との関係性などを軸に、辛酸氏が聞き出した話をダイジェストでお届けする。

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社会

NHKと朝日新聞女性記者との不適切な関係

官邸情報が朝日に"ダダ漏れ"流出元はあの政府高官だった!?

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 続投に執念を燃やす菅直人首相。その暴走に手を貸した「戦犯」のひとりに、ある若手政治家A議員の名前が浮上している。菅グループの議員が証言する。

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『民主党―迷走と裏切り男の300日―』

「A議員は官邸中枢にいる政府高官で、子飼いの番記者たちから、ほかの議員がオフレコでしゃべったことを記したメモを入手し、菅さんに取り入ろうと告げ口ざんまいだった。せっかくつかんだ閣内のイスを手放したくないという子どもじみた動機も動機だが、反菅グループばかりじゃなくて、身内の悪口まで耳に入れていた。そうやって結局、菅さんを疑心暗鬼にさせ、党内で孤立させてしまったんだよ」

 中でも、菅グループの長老格、江田五月法相と荒井聰元国家戦略担当相にまつわる告げ口は、群を抜いていたらしい。

「2人は、菅さんと直接会えば、エールを送るつもりで『小沢一郎とだって話せばわかる』などと平気に言える仲。ところが、2人が同じセリフを番記者に向かってしゃべると、そのオフレコメモを入手したA議員は悪意に解釈し、『あの2人は使い物にならないですよ』という告げ口になっちゃうんだ。おかげで、11年1月の内閣改造時は2人とも官房長官候補だったのに見事に外され、荒井さんは閣外追放、江田さんも入閣すら危なかった」(同)

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フクシマの廃棄物は金のなる木だ!

中国組織もがれき撤去に参入 復興利権に食い込む反社会勢力

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不法投棄ビジネスの真相を告発した
『産廃コネクション』

 福島第一原子力発電所近くの街、福島県南相馬市をチャイニーズ・ギャングスターが訪れた──6月15日付のイギリス・ガーディアン紙はこのように報じた。記事によると、この人物は「中国犯罪組織」の一員であり、震災後、日本の政治家を伴って南相馬市の市長を訪問したが、市長は、その男が闇社会とのつながりを持っていることを知らなかったという。この「チャイニーズ・ギャングスター」の目的とは一体何だったのか。

 この人物、表向きは日本名で知られている、いわゆる帰化中国人である。仮にAとしよう。Aは日本人の妻を持ち、結婚ビザで日本に滞在している。とはいえ、中国との関係は深い。対中国の輸出業務を行う会社を経営しており、同時に、ある在日中国人労働組合の代表を務めている。Aが被災地を訪れたのは、表向き、この労働組合の代表としてである。ところが、Aには裏の顔があった。ある捜査関係者が話す。

「Aは国際捜査に携わる捜査官の中では有名人。彼は紛れもない『中国マフィア』だ」

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連載
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『おなじみのアフロ君がくさす、毎月の気になるニュース。』

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未来からのシナン
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