荻上チキの新世代リノベーション作戦会議
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荻上チキの新世代リノベーション作戦会議 第4回

「大きな政治」への想像力を拡張せよ!【後編】

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「政治参加」の動機は、いかにして取り戻し得るか

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吉田徹氏の著書『二大政党制批判論』。

荻上 日本の80年代以降に目を向けるならば、経済成長が部分社会への帰属意識を薄めた分、消費社会における政治言説の浮遊状況をもたらした。すなわち、多くの政治的言説が「イデオロギーのモード消費」へと滑り落ちていったわけです。例えば「文化左翼」「保守趣味」と揶揄されるような、「対象なき精緻化」や「リアリズムなき先鋭化」然り。ニューレフトから出発したはずのポストモダン言説も、経済基盤や近代的生活に支えられた環境での「エリート意識の発露」にとどまり、無政治性(デタッチメント)を叫ぶことへの自己弁護と化していった。

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荻上チキの新世代リノベーション作戦会議 第4回

「大きな政治」への想像力を拡張せよ!【前編】

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■今回の提言
「生活世界を争点に、政治の再活性化を目指すべし」

ゲスト/吉田徹 [政治学者]

──社会の現状を打破すべく、若手論客たちが自身の専門領域から、日本を変える提言をぶっ放す! ということで始まった本連載、今回は政治学者の吉田徹さん。本号発売時にはすでに参院選は終わっていますが、今般の政権交代と今回の選挙を念頭に、いま日本であるべき政党政治の形をあらためて考えてみました。


荻上 7月11日の参院選により、若干は政界地図が変わっていることでしょうが、この対談の収録は6月のため、まだその結果はわかりません。「増税への踏み込み具合」などの政局報道に終始するメディア。極めて部分的なシングル・イシューしか繰り返さない政党。工程表や明細の書かれないままに「白紙手形」を要求されるような、毎度ながらの「与党への採点方式」選挙に、みなさんもさぞゲンナリしていることでしょう。

 そこで今回お呼びしたのは、昨年『二大政党制批判論 もうひとつのデモクラシーへ』(光文社新書)を上梓された比較政治学者の吉田徹さん。ここ十数年の日本政治が目指してきた「政権交代可能な二大政党制こそが理想」という通念に反し、実際の二大政党制には、政治工学上の問題点として、政党政治における社会の代表機能を狭めてしまうという問題が含まれていると批判をされています。

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荻上チキの新世代リノベーション作戦会議 第3回

"エセ脳科学"に騙されるな 【後編】

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朴訥な"欠如モデル"だけで社会から流言は消えない

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八代嘉美氏の著書『iPS細胞』。

荻上 他方で、民間のサイエンスライターのように、一般誌やウェブを通じて、時には国策を批判しながらゲリラ戦的な啓蒙を試みていく立場の科学コミュニケーションも従来からある。八代さんご自身は、お立場上、前者の歴史を見てきたというわけですね。

 やはり、僕がサイエンスコミュニケーションということに関して基本的に興味があるのは、ホメオパシーやEM菌、"ゲーム脳""ネット脳"などのような、科学にかかわる言説で、不確かなままに広がり実害をもたらしてしまうような「流言」に対するアンチとしてどう機能させ得るかという点です。そのためには、政府からの情報公開であれ、市井の研究者や専門訓練を受けた者らによるゲリラ戦であれ、効果的にアカウンタビリティを果たしていくということが求められる。「より確かな情報」を共有するためには、いかにすればよいのかという課題です。


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荻上チキの新世代リノベーション作戦会議 第3回

"エセ脳科学"に騙されるな 【前編】

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若手専門家による、半熟社会をアップデートする戦略提言

■今回の提言
「「SF的想像力で、科学を"お花畑"から社会へ」

ゲスト/八代嘉美[幹細胞生物学者]

──社会の現状を打破すべく、若手論客たちが自身の専門領域から、日本を変える提言をぶっ放す! ということで始まった本連載、今回は『iPS細胞』などの著書を持つ幹細胞【註】生物学者の八代嘉美さん。内部にいるからこそ見える、日本のサイエンス界が抱いている問題を語ってもらいました。

荻上 今回お招きしたのは、本連載第一回(経済学者・安田洋祐さんとの対談)で、サイエンスコミュニケーターのロールモデルとして名前を挙げさせていただいた八代嘉美さん。幹細胞研究という再生医療の研究から出発されて、現在はSTS(科学技術社会論)や研究倫理といった領域に移りながら、各種メディアでの情報発信を通じて、積極的に社会に対するサイエンスコミュニケーションの実践にも携わられています。

 エセ脳科学ブームによる若年層バッシングや、ダイエット情報による健康被害など、科学をめぐる集合的な誤解や偏見がメディアによって拡大され、大きな問題になるという事例が繰り返されています。そうした中、最先端の学問的知見を元に、「実際のサイエンスの現場で行われているのは、こういうことなんだ」という情報発信を行う役割の重要性が、ますます高まっている。そこでまずは、正しい科学の理解に基づいて情報を広め、啓蒙していくという、サイエンスコミュニケーターなるものが登場してきた背景をお聞かせ願えますか?

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荻上チキの新世代リノベーション作戦会議 第2回

「失われた20年」じゃない、「奪われた20年」なんだ!【後編】

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経済政策立案のシステムの変更を阻害するものとは?

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片岡さんの初の著書
『日本の「失われた20年」 』

荻上 片岡さんの本の中では、経済政策の決定に到るまでの「認知」「決定」「実行」のフロー間に、それぞれにさまざまな「ラグ」が生じるという指摘がなされています。これはあらゆる社会問題と政治との関係に当てはまる見事な整理。「今何が起こっているのか」「何をすべきなのか」「いつ効果が表れるのか」、このラグに対するリテラシーが政策担当者に欠けていると、たとえばわずかな回復の時点で金融引き締めに走ったり、成長戦略なきままに財政再建を強行してしまったりしかねないわけです。

 片岡さんには、こうしたラグを修正するために、経済学などの専門知を総動員すべきなのに、実際には阻害されてしまっているという現状認識があるように思います。具体的には何が阻害しているのでしょう?

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荻上チキの新世代リノベーション作戦会議 第2回

「失われた20年」じゃない、「奪われた20年」なんだ!【前編】

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──若手専門家による、半熟社会をアップデートする戦略提言

■今回の提言
「民主党は"官僚のオルタナティブ"を在野に求めよ」

ゲスト/片岡剛士 [民間シンクタンク主任研究員]

──社会の現状を打破すべく、若手論客たちが自身の専門領域から、日本を変える提言をぶっ放す! 先月より始まった本連載、2回目の今回は、シンクタンクでリサーチをしながら、初の著書『日本の「失われた20年」 デフレを超える経済政策に向けて』で河上肇賞を受賞した片岡剛士さん。ご自身が脱デフレに興味を持った契機から、語ってもらいました。

荻上 今回のお相手は、民間シンクタンク主任研究員の片岡剛士さんです。民間シンクタンクという実践的な場でリサーチャーとして活躍される一方で、ご専門の応用計量経済学の立場から先日『日本の「失われた20年」 デフレを超える経済政策に向けて』(藤原書店)という本を上梓され、経済論壇でいうところの「リフレ派」の旗手として注目されています。「リフレ派」とは、日本が長らく陥っているデフレ不況を脱するために、量的緩和や日銀の国債引受、ゼロ金利政策の継続など、インフレ目標値を設定した上でのさまざまなマクロ経済政策を推奨する立場のこと。特にここ数年、インターネットなどを通じた積極的な情報発信により、大変に注目されています。

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荻上チキの新世代リノベーション作戦会議 第1回

"エセ経済学者"に踊らされないために必要なことってなんだろう?【後編】

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メディアと専門知の「マッチング」の質を上げよ

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安田氏の初編著作学校選択制のデザイン

荻上 この連載は、若き論客の専門知をベースに、メディアや大衆に対して情報発信し、具体的な問題解決につながる議論を提示するのが目的です。これまでメディアでなされてきた議論のほとんどは、イデオロギーや道徳を叫んだり、「○○の時代」といったコピーライティング能力を競う文化評論といったものでした。社会科学の主な方法論は「理論(解釈)」「統計」「フィールドワーク」などがありますが、アカデミシャンであってもメディア上では「理論家」が目立つ一方で、エヴィデンスベースドな議論(実証論拠に基づく議論)が目立ちにくかった。

 でも、この10年で大きく状況は変わってきています。一例は、「少年犯罪が増加している」といったセンセーショナルに煽るマスメディア報道に対して、「犯罪統計では減ってますが何か?」といった実証的反論が増えたこと。メディアの発言に対しても、ネガティブチェック(検査)が行われやすくなり、そうしたチェックに耐えられない論評は、徐々にではありますが信頼を得難くなってきている。特に若手研究者にはそういう態度が染み付いていて、ブログやTwitterなどを利用して、ウェブなどで広がる俗説をチェックをする人も増えてきています。

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荻上チキの新世代リノベーション作戦会議 第1回

"エセ経済学者"に踊らされないために必要なことってなんだろう?【前編】

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──若手専門家による、半熟社会をアップデートする戦略提言

■今回の提言
「専門家よ。書を手に、街へ出よ!」

ゲスト/安田洋祐 [経済学者、政策研究大学院大学助教授]

──政治経済から社会のインフラ、インターネットの使われ方まで、あちこちガタの来てる日本社会。そんな状況を打破すべく、これから躍進が期待される若手論客たちが、自身の専門領域から日本を変える提言をぶっ放す新連載がスタート。第一回は、ゲーム理論を使って日本のシステム更新をはかる安田洋祐さんから、同胞たる専門家たちへの提言です。

荻上 さまざまなシステム不全を起こしている現代社会に切り込むべく始まったゲスト対談連載「新世代リノベーション作戦会議──若手専門家による、半熟社会をアップデートする戦略提言」、ホストの荻上です。第1回のお相手は、経済学者の安田洋祐さん。誰もが認める経済学界のサラブレッドにして、日本におけるメカニズムデザイン理論・ゲーム理論研究の先駆者です。

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おなじみのアフロ君がくさす、毎月の気になるニュース。
花くまゆうさくの
カストリ漫報
『おなじみのアフロ君がくさす、毎月の気になるニュース。』

宇野常寛の批評
宇野常寛の
批評のブルーオーシャン
『さらば、既得権益はびこるレッドオーシャン化した批評界!』

未来からのシナン-目指せ!
田中圭一の
未来からのシナン
『現代のビジネスマンたちの悩みを解決する、超SFマンガ。』


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