映画でわかるアメリカがわかる
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町山智浩の「映画がわかる アメリカがわかる」 第54回

人は人を正しく裁くことができるのか? 悪魔崇拝で、死刑に!?現代に甦った魔女裁判

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雲に隠れた岩山のように、正面からでは見えてこない。でも映画のスクリーンを通してズイズイッと見えてくる、超大国の真の姿をお届け。

『パラダイス・ロスト3/煉獄』

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アメリカ・アーカンソー州で起こった猟奇殺人事件を追い続けたドキュメンタリー・シリーズの最新作。容疑者3人への、嫌疑を前提とした捜査や裁判の過程を、関係者の証言や取材を通して明らかにしていく。
監督/ジョー・バーリンジャー、ブルース・シノフスキー 出演/ダミアン・エコールス、ジェイソン・ボールドウィンほか日本での公開は未定

 アメリカ・アーカンソー州ウェストメンフィス市の町はずれの森で、1993年、3人の小学二年生(8歳)が、惨殺死体で発見された。遺体は全員全裸で、手足を縛られ、ナイフで動脈を切られ、ひとりは性器をえぐり取られていた。ほかにも、遺体にはムチで打たれた痕や歯型なども残されていたのだった。

 すぐに犯人として2人の高校生が逮捕された。ダミアン・エコールス(18歳)とジェイソン・ボールドウィン(16歳)。地元警察は、2人が悪魔崇拝の儀式のために被害者たちを生贄に捧げたと発表した。

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町山智浩の「映画がわかる アメリカがわかる」 第53回

巨匠イーストウッドがFBIの闇に迫る ディカプリオが演じるゲイで女装癖のFBI長官

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雲に隠れた岩山のように、正面からでは見えてこない。でも映画のスクリーンを通してズイズイッと見えてくる、超大国の真の姿をお届け。

『J・エドガー』

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FBI初代長官で、FBIを今日の巨大な組織へと発展させた功労者ジョン・エドガー・フーバー。大統領にも恐れられた彼の行う"正義"と、その秘められた私生活を、クリント・イーストウッドが精緻に描いた。
監督/クリント・イーストウッド 出演/レオナルド・ディカプリオ、ナオミ・ワッツ、アーミー・ハマーほか 日本では1月28日より全国公開予定

 クリント・イーストウッドは食えないジジイである。

 インタビューの時、「オークランドに住んでます」と自己紹介したら、「Name dropperだな」と返してきた。Name dropperとは、有名人の知り合いがいると見栄を張ることだが、オイラはただ彼の故郷の話題で和まそうと思っただけなのに!

 この『J・エドガー』の製作が発表されると、マスコミの関心は「ジョン・エドガー・フーバーの同性愛を描くかどうか」に集中したが、イーストウッドは「NO」と答えた。完成した映画を観ると、彼の答えは嘘であり、本当だった。

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町山智浩の「映画がわかる アメリカがわかる」 第52回

ウォール街が崩れ去るその裏で金融崩壊を引き起こした証券マンたちの葛藤

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『マージン・コール』

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2008年の金融危機の中で、某投資会社は倒産しかねない危機的事態に陥った。そこで働く社員たちの緊迫の24時間を描いた金融サスペンス。金融崩壊を前に彼らが下した決断とは......。

監督/J・C・チャンダー 出演/ザッカリー・クイント、ケヴィン・スペイシー、ジェレミー・アイアンズ、デミ・ムーアほか日本での公開は未定 DVDが2012年2月3日に発売予定

 2008年9月、創業107年目のマンハッタンの某投資会社で、社員の8割がリストラされた。危機管理アナリストのエリックも、すぐにオフィスを去るよう命じられた。アメリカではよくあることだ。

「ちょっと待ってくれ、今、ものすごく重大な仕事の最中なんだ!」

 警備員は聞く耳を持たず、エリックをエレベーターに押し込む。ドアが閉まる直前、彼は若手の部下ピーターにUSBストレージを手渡した。

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町山智浩の「映画がわかる アメリカがわかる」 第51回

セレブな奥さまの本性があらわに......「白人女性たちが加担した人種差別の象徴たる女中」

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『ヘルプ〜心がつなぐストーリー〜』

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1960年代前半のミシシッピ州ジャクソンを舞台としたコメディ映画。黒人のお手伝いさんと雇い主である白人に焦点を当て、公民権運動を背景にジャーナリストを目指す若い白人女性と黒人のお手伝いさん2人の視点から描かれる。

配給/ウォルト・ディズニー 監督/テイト・テイラー 出演/エマ・ストーン ほか 日本では2012年3月公開予定

 白人の赤ちゃんの面倒を見ること、それが私の仕事だよ。もちろん料理や掃除をしながらやるんだ。私は一生の間に17人の子どもを育てた。赤ん坊を寝かしつけて、泣きやませて、トイレのしつけをする。赤ん坊のママたちがベッドから起きてくる前にね」

 そう語るのは、アイビリーン。南部ミシシッピ州のジャクソンという町に住むアフリカ系の女性で、仕事はヘルプ(お手伝いさん)だ。

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町山智浩の「映画がわかる アメリカがわかる」 第50回

猿と人間の間に横たわる違いとは? 人間として育った猿が投げかける答えなき問い

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『プロジェクト・ニム』

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1973年、心理学者ハーバード・テラスは、1頭のチンパンジーを人間の子どもと同じように育て、「どれだけ人間に近づけるか」という実験を開始した。その実験の被験体となったチンパンジー・ニムの生涯を追ったドキュメンタリー。

監督/ジェームズ・マーシュ 第24回東京国際映画祭(10月22日〜30日)にて、25日と27日に公開予定

 今年公開された『猿の惑星・創世記(ジェネシス)』は、「現実の写し絵」という、オリジナルの『猿の惑星』シリーズのスピリッツを引き継いだ映画だ。

 黒人の公民権運動の最中に公開された『猿の惑星』(1968年)は、文明化した猿に人間が奴隷化された地球を描いて、白人に奴隷の立場を思い知らせた。続く『続・猿の惑星』(70年)は、冷戦時代の「核による平和」を揶揄していたし、三作目『新・猿の惑星』(71年)は、ベトナム反戦運動と女性解放運動を反映していた。『猿の惑星・征服』(72年)では、公民権運動指導者のキング牧師やマルコムXが暗殺され、怒った黒人たちが全米各地で暴動を起こした事実を描いている。

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町山智浩の「映画がわかる アメリカがわかる」 第49回

アメリカの闇がまざまざと 忘れられた棄民たちヒルビリーの神話

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『ウィンターズ・ボーン』

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17歳の少女リーは、貧しい田舎町で、病気の母と幼い妹弟と暮らしていた。しかし、そんな中、自宅を保釈金の担保にしたまま失踪した父を見つけなければ、自宅が差し押さえられてしまうことが発覚。彼女は父を探し始めるのだが......。

監督/デブラ・グラニック 出演/ジェニファー・ローレンス、ジョン・ホークスほか 日本では、10月29日より公開

 映画『ウィンターズ・ボーン』のヒロイン、リー・ドーリー(ジェニファー・ローレンス)は、ミズーリのオザーク山地に住む17歳の少女。父は覚せい剤の密造で逮捕され、母は精神を病んでいて何もできない。幼い弟と妹の面倒はリーが看るしかない。

 ところが父親は保釈されてすぐに行方不明になった。父が出頭しないと保釈金のカタとして家が差し押さえられる。家族を抱えたリーは父を探すため、オザークの闇社会に入り込んでいく。

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町山智浩の「映画がわかる アメリカがわかる」 第48回

愛の三日間には何があった!? レイプか愛の逃避行か 世間を騒がす女の半生

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『タブロイド』

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1977年にイギリスで起こった「モルモン教徒男性誘拐手錠レイプ事件」の容疑者であるジョイス・マッキニーのインタビューと、当時の資料映像によって構成されたドキュメンタリー。彼女の劇的な半生を、ドキュメンタリー監督エロール・モリスが追った。

監督/エロール・モリス 出演/ジョイス・マッキニーほか 日本での公開は未定

 2008年、韓国のバイオテック企業、RNLバイオ社がクローン犬を作って話題になった。依頼人のバーナン・マッキニーは、凶暴な犬に襲われて瀕死の重傷を負った。その時、ブーガーという彼女の愛犬が、身を挺して彼女を守った。その忠犬ブーガーがガンで余命わずかと宣告されたので、彼女はブーガーのクローンを作ろうとしたのだ。

 ブーガーの細胞から、ブーガーと同じ遺伝子の5匹の子犬が生まれた。子犬を抱いて喜ぶマッキニーの写真は世界を揺るがせた。つまり、人間のクローンも技術的に可能な時代になったのだ。これは神の領域を冒したのでは? クローンの人権はどうなる? 法律による規制の必要は?

 だが、イギリスでの反応は違った。

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町山智浩の「映画がわかる アメリカがわかる」 第47回

カウボーイ外交は何を生み出した? 暴力的支配の果てに馬が映し出す己の姿

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『BUCK』

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伝説の調教師であり、馬の心を開くプロ"ホース・ウィスパラー"であるバック・ブラナマンの半生をたどるドキュメンタリー映画。幼少時の虐待をへた彼が、どのようにして馬と心を通じ合わせているのかを丁寧に追っている。

監督/シンディ・ミール 出演/バック・ブラナマン、ロバート・レッドフォードほか 日本での公開は未定


 ロバート・レッドフォード監督・主演の『モンタナの風に抱かれて』(98年)という映画がある。乗馬を愛する13歳の少女が、馬と一緒に交通事故に巻き込まれる。少女は片足を切断し、心を閉じてしまう。馬も事故のショックで制御不能な暴れ馬となる。少女の親は、馬の薬殺を検討するが、そんなことをしたら娘の心も永遠に死んでしまうだろう。

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町山智浩の「映画がわかる アメリカがわかる」 第46回

女たちが見つめたアメリカの歴史 西部開拓時代から続くアメリカの愚かな先導者

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『ミークズ・カットオフ』

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アメリカの西部開拓時代の史実を基にした物語。開拓地を求めて西部を移動する幌馬車隊に、罠猟師のミーク(ブルース・グリーンウッド)がガイドとして着いたことから、幌馬車隊の過酷な旅が始まった......。
監督/ケリー・レイチャード 出演/ミッシェル・ウィリアムズ、ブルース・グリーンウッドほか 日本での公開は未定


 1845年、1000人の開拓民たちが200台の幌馬車で西の果てオレゴン州に入った。

「この先のブルーマウンテンで原住民が幌馬車を襲っている」地元に詳しいと称する罠猟師スティーブン・ミークが、幌馬車隊を止めて言った。「俺は安全なカットオフ(近道)を知っている。俺を案内人に雇え」。

 開拓民たちはミークに同行することを決めるが、ミークは近道など知らなかった。幌馬車隊は、木も水もない荒野へ深く迷い込んでいく......。

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町山智浩の「映画がわかる アメリカがわかる」 第45回

男が箱庭を作り続ける理由とは? アウトサイダーを癒やす箱庭とハイヒール

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『マーヴェンコール』

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5人の男たちにリンチされ生死の境をさまよったマークは、一命を取り留めるも事件以前の記憶をほとんどなくしてしまっていた。退院後、彼は自宅の裏庭に人形たちの街"マーヴェンコール"を作り始め、その様子を写真に収めていくのだった。
監督/ジェフ・マルムバーグ 出演/マーク・ホーガンキャンプほか 日本での公開は未定

 二次世界大戦中のヨーロッパ。アメリカ海軍のパイロット、マーク・ホーガンキャンプは、ベルギー上空でナチス・ドイツ軍に撃墜され、マーヴェンコールという街にたどり着く。バービー人形のような美女だけが暮らすその街で、唯一の男になったマークは、酒場「破れたストッキング」をオープンする。

「破れたストッキング」には2つのルールを守りさえすれば、連合軍でもドイツ軍でも入ることができる。決して戦闘をしないこと。そして、酒場の場所を誰にも言わないこと。店の中では敵同士が仲良く酒を飲み、美女たちのショーを楽しんだ。

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“超”現代哲学講座
哲学者・萱野稔人の
“超”現代哲学講座
『国家、権力、そして暴力とは何か?知的実践による解説。』

映画でわかるアメリカがわかる
町山智浩の
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『映画を通してズイズイっと見えてくる、超大国の真の姿。』

おなじみのアフロ君がくさす、毎月の気になるニュース。
花くまゆうさくの
カストリ漫報
『おなじみのアフロ君がくさす、毎月の気になるニュース。』


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