マル激 TALK ON DEMAND
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神保哲生×宮台真司 「マル激 TALK ON DEMAND」 第57回

スマートグリッドが実現しない日本型民主主義の悪しき慣習【後編】

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悪しき民主主義に帰結するエネルギー問題の行く末

神保 最後に一点。国内に目を向けると、現在日本の首相は開き直ったように「再生可能エネルギー促進法が通らないのなら、解散も辞さないぞ」と言って、この問題に勝負を賭ける意思を見せています。しかし、原発事故が現在進行形で起きている日本で、首相がドイツから20年も遅れてエネルギー政策を転換すると主張しても、依然として反対意見が根強く残っている。実際、世論調査を見ても、日本では脱原発については支持・不支持に意見が割れてしまっている。世界の人々は、この結果を見て驚いていると思います。ほかの国が福島を見て原発から相次いで撤退している中、当の日本だけはなんとか原発を再開しようとしているわけですから。これは、どう理解すればいいのでしょうか?

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神保哲生×宮台真司 「マル激 TALK ON DEMAND」 第56回

国後・択捉は日本の領土なのか? アメリカの去勢と歴史的歪曲【前編】

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ビデオジャーナリストと社会学者が紡ぐ、ネットの新境地

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今月のゲスト
孫崎享[元外務省国際情報局長]

──昨秋、尖閣沖で起こった中国漁船と海上保安庁巡視船の衝突事件後、ロシアのメドヴェージェフ大統領が北方領土を、そして今年に入っても韓国の国会議員3人が国後島を訪問した。ここに来て日本の領土問題が騒がしくなったが、「政府、メディア、アメリカのあり方」という点、日本の領土問題と原発問題は類似している、と本連載の司会・神保哲生氏は語る。またそれに同調した元外務省の孫崎享氏は、北方・尖閣をはじめとする領土問題はフィクションに踊らされたタブーが根底にあると指摘する。原発問題に揺れる今だからこそ見えてくる領土問題について、日本が抱える病巣とともに"真の問題点"を浮き彫りにする。

神保 東日本大震災の発生以来、マル激では防災や原発など震災関連のテーマを通して、日本のさまざまな問題点を見てきました。今回は思い切って、直接震災とは関係がないテーマ領土問題を取り上げます。ただし、これも中身を見てみると、政府の対応やメディアのあり方、そしてアメリカとの関係などで、震災、とりわけ原発問題と共通する構造的な問題がその根底にあるように思います。

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神保哲生×宮台真司 「マル激 TALK ON DEMAND」 第56回

国後・択捉は日本の領土なのか? アメリカの去勢と歴史的歪曲【中編】

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ダミー社の隠蔽体質と御用メディアのタッグ

神保 永田町を舞台に、米ソ冷戦が行われていたということですね。

宮台 大事なことは、鳩山一郎さんの世代までは愛国主義者が「対米自立」つまり自主路線を取った事実です。戦前も「右」といえば「対欧米自立」です。ところが、アメリカ傀儡政権である岸信介以降は、「右」の意味が変わってしまう。「親米右翼」などという、それまでありえなかった存在が、「右ヅラ」をするようになります。

 アメリカは、自分たちの利益のために、ソ連が絶対に飲むことができない無茶な交渉態度を、日本に強要したわけです。「解決した領土問題を、むりやり未解決にしろ」というアメリカの無体な要求を、外務省が受け入れてしまったのは、なぜでしょうか?

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神保哲生×宮台真司 「マル激 TALK ON DEMAND」 第56回

国後・択捉は日本の領土なのか? アメリカの去勢と歴史的歪曲【後編】

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ダミーはエネルギー政策をどこで見誤ったのか?

神保 日本が抱えている領土問題は、我々が理解していた話と明らかに違うことがわかりました。政府は北方領土関連で毎年億単位の広報予算を使い、国民に喧伝しています。その中で重要なのは教科書。学習指導要領の中では「領域の特色と変化については、北方領土など我が国の領域をめぐる問題にも着目させるようにすること」と定められていて、実際の運用としては、北方四島は日本本土と同一色で表示。僕らはその教科書を読んで育ってきたから騙されてしまったのだと思うけど、これも原発問題と共通点がある話です。

 更に言えば、これを伝えない記者クラブメディアの問題がある。新聞、テレビなどの記者クラブメデイアでは、領土問題は基本的に霞クラブと呼ばれる外務省記者クラブの管轄になります。外務省の記者クラブに入れてもらって、さまざまな便宜を受けているメディアが、こんな重要な問題で外務省、ひいては政府の方針に真っ向から反する報道ができるはずはない。しかも、大半の国民は長年の政治宣伝のおかげで、フィクションを心底信じているから、真実を報じなくても批判されることはない。

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神保哲生×宮台真司 「マル激 TALK ON DEMAND」 第55回

唯一の被爆国・日本が選んだ原発大国への知られざる道程【前編】

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ビデオジャーナリストと社会学者が紡ぐ、ネットの新境地

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今月のゲスト
武田 徹[ジャーナリスト]

──東日本大震災による福島原発問題は、多くの課題と問題を日本に突きつけている。マル激では多角的に福島原発問題をあつかってきたが、そもそも日本が世界屈指の原子力大国への道を突き進んだ背景には、どのような理由があったのだろうか? 唯一の被爆国だからこそ知る"原子力の巨大な力"に引きつけられた歴史を、『私たちはこうして「原発大国」を選んだ』の著者であるジャーナリストの武田徹氏と共に追う──。

神保 今回も原発関連のテーマでお送りします。福島第一原発の事故をめぐっては、原子力の是非だけではなく、日本の民主主義はどうなっているのか、メディアのチェック機能は機能しているのか、そして我々は今、歴史上どの地点に立っているのか......など、これまで水面下でくすぶっていた多くの問題を、マル激では浮き彫りにしてきました。

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神保哲生×宮台真司 「マル激 TALK ON DEMAND」 第55回

唯一の被爆国・日本が選んだ原発大国への知られざる道程【中編】

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ゴジラと手塚作品、原子力との密接な関係

宮台 集合的なセルフイメージの問題です。政治家たちが表舞台であえて口に出すまでもなく、コミュニケーションを支える共通前提として「去勢を埋め合わせる核」のイメージがあったのだと思います。反米左翼だった清水幾太郎や西部邁が、後に「転向」して核武装論を唱えるのが典型です。これは右翼への転向に見えて、「対米自立のための力を涵養せよ」というメッセージで一貫しています。

 実際のところは、武田さんの言われた通りで、日本を主要監視対象とする国際原子力機関(IAEA)があり、その中で最も大きな影響力を持つアメリカが絶対に日本の核武装を望まない以上、親米保守の政治家が「去勢を埋め合わせる核」にすがるのは矛盾で、単なる政治オンチの現れです。だとしても、集合的な社会意識として「原子力=パワー」という図式が機能していたことは否定できません。
神保 原子力の平和利用を訴えた、53年のアイゼンハワー大統領の国連演説には、どんな意味があったと思いますか?

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神保哲生×宮台真司 「マル激 TALK ON DEMAND」 第55回

唯一の被爆国・日本が選んだ原発大国への知られざる道程【後編】

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教科書にまで介入した国と企業の原発安全神話

神保 「夢のエネルギー」というコピーだけでは、原子力はもう売れない。だから、今度は札束を差し出すようになったと。電源三法は「電源開発促進法」「電源開発促進対策特別会計法」「発電用施設周辺地域整備法」の3つからなる法律ですが、あらためてこれがどんなものであるかを簡単にご説明ください。

武田 簡単に説明すると、電源三法は基本的に、電源立地を推進するため、発電所を造らせてくれた自治体に交付金としてお金を回す仕組みです。それも国民にあまり意識されないように、電気料金に薄く乗せて財源にする。水力発電や火力発電もその対象にはなりますが、一番厚く交付金が下りるのは原発だった。だから、実質的に原発立地を推進するための法律であることは間違いありません。

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神保哲生×宮台真司 「マル激 TALK ON DEMAND」 第54回

防波堤による安全への驕りと自然災害との向き合い方【前半】

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──ビデオジャーナリストと社会学者が紡ぐ、ネットの新境地

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今月のゲスト
片田敏孝[群馬大学大学院教授]

 国内屈指の津波対策を講じた地域──津波防災の専門家である群馬大学大学院の片田敏孝教授は、三陸沿岸についてこう語る。だが、東日本大震災では、巨大な防波堤が設置されていたにもかかわらず、膨大な犠牲者を出した地域もあれば、海抜0メートルに位置する小中学校がありながら、登校していた児童や生徒約3000人全員が無事避難した地域もある。揺れの大きさ、津波の高さなど、あらゆることが"想定外"だった今回の大地震から、一体、日本人は何を学ぶべきなのだろうか? 

神保 僕は地震発生直後に被災地に取材に入り、まずは津波の威力と被害の甚大さを知り、茫然自失となりました。しかし次第に、物的な被害と人的な被害のバランスに、地域差があることに気づきました。つまり、建物はものすごく壊れていても、住民の多くが避難して助かった地域と、建物はそんなに壊れていないのに、多くの方が亡くなった地域がある。それが、今回の津波災害では今後の復興や防災のあり方を考える上での、ひとつのポイントになるのではないかと考えました。

 そこで今回は、津波防災の専門家で、岩手県釜石市防災・危機管理アドバイザーも務めてらっしゃる群馬大学大学院の片田敏孝教授にお越しいただきました。まず、片田さんは今回の津波の被害状況をどう受け止めましたか?

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神保哲生×宮台真司 「マル激 TALK ON DEMAND」 第54回

防波堤による安全への驕りと自然災害との向き合い方【中編】

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日本の学校教育と防災訓練の乖離とは?

神保 大人が想定にとらわれている間に、子どもたちが正しい行動を取ったんですね。今度の災害での釜石市内の小学校・中学校3000人の避難率は、ほぼ100%だったのですが、平成18年の千島列島沖地震の際には、10%未満だったそうですね。

片田 日本の学校教育では、先生の言うことは正しいし、与えられる印刷物は必ず正しい、と教えられます。疑ったり、自分で考えたりするための訓練は、あまりされていない。だから、僕は最初にハザードマップを見せて、それを否定しました。

 僕らが考えていたのは、「防災教育においては、知識ではなく姿勢を教えなければならない」ということ。「君たちにできるのは、ただ逃げることだけ。それでも助かる保証はない」と教えているのですから、彼らも懸命に逃げます。

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神保哲生×宮台真司 「マル激 TALK ON DEMAND」 第54回

防波堤による安全への驕りと自然災害との向き合い方【後編】

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個人に帰依する防災の主体そして社会のニーズ

神保 これから防災都市を造るための議論として、まずは何から始めるべきでしょうか?

片田 今は1メートルの津波でも町が浸水してしまう状況なので、まずは倒れてしまった堤防をなんとかしないといけません。また今回の地震は、陸地側の地盤を沈下させています。あらゆる議論をする前に、暫定的にでもこれに対処しなければならない。

 復興をどうするかの話ですが、釜石市唐丹に本郷集落という地域があります。ここは明治三陸津波のときよりも昭和三陸津波のとき被害が激しかったところで、それ以降に高所移転が行われました。海沿いに住んでいた人たちが標高20メートル以上の地点に引っ越したのです。今回、そこでは一軒も津波の被害に遭いませんでした。このように高所移転が抜本的な解決策であることは確かです。

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未来からのシナン-目指せ!
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