日本全国で導入済!――中国製監視カメラ【米輸出規制】は手遅れ
2020年1月19日 11:00
2011年4月26日 18:00
兄のマンションでくつろぐ両親、父親の古希を祝うためレストランに勢揃いした家族や知人たち、ボウリング場ではしゃぐ姪や甥っ子......。スクリーンに映し出される光景は、ごく平凡なホームビデオの映像となんら変わりない。ただ、父親が朝鮮総連(在日本朝鮮人総聯合会)の元幹部で、兄たちが暮らすのは、北朝鮮の首都・平壌であることを除けば。
日本で生まれ育ち、ニューヨークへの留学経験もある
梁監督に、幼い姪のソナが、これまでに観た演劇につ
いて尋ねるシーンが印象的。なお、成長したソナはそ
の後、大学の英文科に入学しているとのこと。
在日コリアン二世である梁英姫(ヤン・ヨンヒ)監督のドキュメンタリー映画『ディア・ピョンヤン』(05)は、梁監督が6歳の時に帰国事業(1 950年代に始まった、在日朝鮮人による北朝鮮への集団移住)で未知なる祖国・北朝鮮に渡った3人の兄たちの平壌での暮らし、そして対外的には「将軍様に忠誠を」と唱えながらも息子たちを北朝鮮に送ったことに後悔の念を抱く父親、せっせと平壌に仕送りを続ける母親の姿をビデオカメラで収めたもの。巨大マスゲームや脱北者といったニュース映像とは異なる、平壌で暮らす一般市民の日常風景が新鮮な印象を与える。06年ベルリン映画祭最優秀アジア映画賞を受賞するなど、世界各国の映画祭で高い評価を得た。だが、同作の公開後、監督は北朝鮮への入国を禁じられてしまった。その状況下で、前作で使用しなかったシーンを中心に構成し、5年ぶりの続編『愛しきソナ』を完成させた梁監督に、入国禁止になった経緯や、マスコミ報道では見えてこない北朝鮮の内情について聞いた。
──『ディア・ピョンヤン』の公開後、北朝鮮へのビザやパスポートを発行する朝鮮総連から入国禁止を言い渡されたそうですが、何が問題だったんでしょうか?
梁英姫(以下、梁) 北朝鮮政府の許可なく映画を製作・公開したこともあると思いますが、やはり映画の内容ですね。国を賛美した作品になっていませんから。元総連幹部の父が「息子を3人とも北朝鮮に送らなくてもよかった」と漏らすくだりが、特に問題だったようです。総連内では「あのシーンさえなければ......」と言われていたみたい。ほかのシーンでも、「あの国に行って違和感を感じた」「祖国って何?」とか私のナレーションが入っているので、トータルで問題ありとされたようです。あちらにしてみれば、空港で検閲したはずのビデオカメラの映像から、映画が作られるとは思ってもみなかったんでしょうね。今は、北朝鮮への家族訪問の際、ビデオカメラの持ち込み自体が禁止になっています。私の映画が直接の原因とは思いたくないんですけど(苦笑)。
──"謝罪文" の提出を求められたと聞いています。
梁 母が総連に行った際に、「娘さんは(北朝鮮に)入国できません。謝罪文を書きますか?」と言われたそうです。でも、一体何に対して謝れというのかわかりません。ひとりの作家が自分の名前を出して作品を発表するということの覚悟を、彼らは理解していないんだなと思います。総連の人たちは個人の名前で発言したりしませんから。私、そういうのが嫌いなんです。私が撮った映画に不満があるなら、ちゃんと自分の名前と顔を出して私に文句を言えばいいのに。だから『愛しきソナ』は、謝罪文を書く代わりに、もう一本映画を作りましたってことですね(笑)。会えなくても家族だし、そして私は家族の映画を作り続けます、と。
──平壌で暮らすお兄さんたちは、梁監督が映画を作ることに賛成してくれたわけですよね。
梁英姫氏。(撮影/名和真紀子)
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